2022年10月31日月曜日

アラビアのローレンス:第一次世界大戦前夜、ローレンスが中東で果たした歴史的役割は何だったのか

アラビアのローレンス

「アラビアのローレンス」を観ました。第一次世界大戦後の世界を決定づけた人物
 先日、エリザベス女王がなくなりました。最長の在位期間を誇り、世界中から惜しまれたと伝えられています。しかし、彼女の死は間違いなく戦後の時代を画するものとなるでしょう。それはエリザベス女王の生き方や彼女の歴史的役割がそのようなものだったということではなく、大きく変化する中で、イギリス連邦が名実ともに崩壊の時期を迎えることになったということでしょう。イギリス連邦の構成国の中ですら、「イギリス連邦の存在意義は?」という問いかけに、明確に答えを出すことができなくなってきているのではないでしょうか。


イギリスは中東に責任を負わなければならない。
 歴史映画館が時代の節目となる出来事を画いた映画を発掘し、時代背景と共にお贈りします。今回は第一次大戦後の中東世界を決定づけた大英帝国の帝国主義的野望を画いた「アラビアのローレンス」をお贈りします。
 この映画は実在のトーマス・エドワード・ロレンス(Thomas Edward Lawrence、1888年8月16日 - 1935年5月19日)をモデルにしたもので、彼は大英帝国の命を受けて、オスマン帝国に対するアラブ人の反乱(アラブ反乱)を指導した人物で、良きにつけ悪しきにつけ、近代の大英帝国史上これほど大きな仕事を成し遂げた人物はいないと考える。
 現在のアラブを含む中東情勢はローレンスによって決定付けられたといってもいい。それ故、今アラブに起こっているすべてのことに、 イギリスは責任を負わなければならない義務を負っていると考える。



映画の紹介
 この映画に出てくるローレンスの細かい所作をについては必ずしも史実とは言えないかもしれない。 しかしこの映画全体を通して、描かれている内容は、ほぼ忠実に史実に沿ったものと考える。 その意味でこの映画の歴史的役割はかなり高いものと受け止めている。
 この映画の背景については、後ろの項目で語られるが、 オスマントルコは衰退するにつれて、それまで圧迫されていたアラブ民族が台頭し新しい勢力が築かれていく。   しかしそうした中にあって、大英帝国即ち現在のイギリスが自らの帝国主義的野望を貫徹するべくこの地に置いて画策をし、 中東の世界に混乱と不信を撒き散らしたことについては、100年経った今でも責任を負わなければならないだろう。



映画データ
監督  デーヴィッド・リーン
出演  ピーター・オトゥール, アレック・ギネス, アンソニー・クイン
ジャンル  ドラマ, 歴史, 冒険, アクション, 軍隊・戦争
オーディオ言語 English


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ストーリー

 1914年、第一次世界大戦が勃発し、アラビアはドイツと結んだトルコ帝国の圧政下にあった。英国は、ドイツ連合軍の勢力を分散させるため、稀代の天才戦略家ロレンスをアラビアに派遣する。
 アラビ王族のファイサル王子の軍事顧問となったロレンスは、ハリト族のリーダー、アリや黄金を探し求めるアウダらとともに、独自のゲリラ戦法を駆使して反乱軍を指揮し、アラブ国民から砂漠の英雄とうたわれるようになる。
 だが次第に自分が軍上層部に利用されていることを知り、アラブ民族もまた、部族間の対立からロレンスを裏切っていく・・・。


背景と見どころ

  オスマントルコは13世紀に建国され、20世紀初頭までその巨大な権力をふるってきた。17世紀末から衰退に向かい、この映画の時代は、まさしく死に体の状態だあった。

 オスマントルコは基本的には農業国であったが、その立地条件を生かし、長い間自給自足の体制をとってきた。周辺諸国で、産業革命がおこり、工業化の波が押し寄せたにも拘らず、その工業化の波に乗り遅れた結果、19世紀には立ち行かなくなっていた。

 にも拘らず、過去の栄光にこだわり続け、当時事実上支配していたアラブ諸国にも独立の機運が高まっていた。大英帝国はその中東にくさびを打ち込むべく、ローレンスを派遣し、ものの見事にアラブの反乱を成功させた。
 この映画の最期の部分では、主導権を勝ち取ったアラブの部族が抗争し紛糾する場面が出てくるが、それこそ、オスマン亡き後の中東の混乱を見事に表現しているといえよう。






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2022年10月30日日曜日

近代中国の扉をこじ開けた男 「孫文-100年先を見た男」

孫文-100年先を見た男

孫文こそが1911年、東洋で初めての民主主義革命である辛亥革命を成功させた立役者である。この革命は、秦朝以来2000年以上も続いた専制政治を打倒したという点で、世界でも最も特筆すべき大事件である。

映画の紹介
今から100年余年前!世界中に激震が走った。誰もがあの清朝が瀕死の状態にあることは認識していたにも拘らず、現実に倒れてしまうことは予想できなかったのではないだろうか。

映画データ
  • 出演: ウィンストン・チャオ(趙 文瑄),アンジェリカ・リー, ウー・ユエ, チャオ・チョン, ワン・ジェンチョン 
  • 監督: デレク・チウ(趙崇基)
ストーリー

1910年、中国近代国家への夜明けにつながる“革命前夜”。 亡命の地マレーシア・ペナン島を舞台に、度々の革命失敗の苦境と失意、そして暗殺の危険に遭いながらも、愛する人に支えられ、理想を失わなかった世界的革命家・孫文の闘いと愛の日々を描く一大歴史ロマン。

歴史的背景と見どころ
 辛亥革命から何を学ぶか?辛亥革命も当時の人々にとっては何故起こったのかわからなかったのかも知れない。昨年起こったイギリスのEU離脱の意思表示と同じ様に、「この世の中何が起こるかわからない」と見ていたのかもしれない。しかし、イギリス内部に蔓延していた、閉塞感を正しく見ていさえすれば、正しく予見する人間がいたのかもしれない。
 辛亥革命を現実に可能ならしめたのは、満州族の支配に対する閉塞感とも云われる。アヘン戦争で敗れるわ、大平天国の乱ではぐちゃぐちゃになるわ、外国列強や日本から好き勝手にされるわ、全てに亘って中国の民衆は劣悪な状態に置かれた。やがてそれは爆発し、民族主義的な熱情を噴出しながら突き進んだ。
 今全世界で起きているカオスのような出来事も、結局それを可能ならしめるものは、人々の貧富の差や失業生活不安、自分達の意志でどうにもならないという閉塞感が人々を突き動かしているとも云えまいか。とすれば、100年前に起こったと同じことが我々の目の前で起こっても不思議ではない。そして辛亥革命の激震が、ロシアに飛び火し、レーニンの率いる10月革命へと波及していったように。
 これからいかなる激震が我々を襲うだろうか? 我々はもっと賢くならなければならない。これが歴史から学ぶということだろう。
 それにしても主人公、趙 文瑄(ウィンストン・チャオ)のかっこよさ。冷徹なまでに研ぎ澄まされた革命家を好演している。すばらしい。


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イメージ:巨大なイーグルが神戸にある八角の楼閣(移情閣)に現る
世界の歴史の扉を切り開く
孫文は神戸にある八角の楼閣(移情閣)に一時滞在し、やがて革命の渦中に戻っていく
孫文の起こした民主主義革命の波はロシアへと広がり、ロシア革命で噴出する


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ニコライとアレクサンドラ・・ロシア帝国がいかに崩壊したか:プーチンはこの歴史を拭い去れるのか

映画:「ニコライとアレクサンドラ」
繰り返されるロシアの悲劇100年前の皇帝に代って独裁者プーチンの降臨

今から約百年前まで、ロシアは皇帝ニコライが専制政治を敷いていました。そして今、プーチンによる専制政治(独裁)がひかれています。民族解放を標榜し、帝政を倒し国民が主人公てとなる民主主義のために闘ったロシア民族は今どこに行ったのでしょう。

原題:「The Royal Family」をご紹介します。
今進行しているロシアのウクライナ侵攻を判断する材料として、この映画を取り上げてみたいと思います。
 2022年の現在ロシアのウクライナ侵攻が、 世界中の大きな非難を巻き起こしています。 しかしながらロシアのプーチンはこの非難に怯むことなくウクライナ屈服させようと大量殺戮の手段まで訴えています。

 この映画は、ちょうど100年前に、ロシアはロシア革命が勃発し、その時までにロシアを支配していた倒れ行く、ロマノフ王朝を舞台にしています。

 この映画の主人公はロシアの最後の皇帝ニコライとその妻のアレクサンドラです。実はこの映画の主人公はもう一人いるのです。それはラスプーチンという怪僧です。この人も実在した人物ですが、すでに末期的症状を見せていた、王朝の中に巣食い、皇后アレクサンドラの寵愛を受け、ロシア革命の前夜にロシアの帝政の政治を大きく混乱させた人物です。

 最近ロシア正教のトップのキリル総主教がニュースの取り上げられています。キリル総主教は、プーチンの精神的盟友ともいわれており、ロシアのウクライナ侵攻を支持しています。
 ロシア帝政当時の宗教的な環境と、現代の政治的環境の違いがどうなっているのかは知りませんが、現在でも100年前と同じように宗教の政治的影響は無視できないところにあると考えるべきでしょう。

 いずれにせよ、国家としての正常なる判断が失われ、ウクライナに一方的に侵略することになったと考えられますが、プーチンを突き動かしたものはなんだったろう。それはプーチンに聞いてみないとわからないと大概の人は言うでしょう。
 プーチンを取り巻く環境、ロシアの歴史及びロシアの経済的政治的地理的に置かれた環境などプーチンがどのように育てられたか知ることが、プーチンの個人の考えを云々するよりもっと大事なことと考えています。

  個人が歴史の中で果たす役割は、歴史の一瞬一瞬では大きなものであるかもしれません。しかし歴史を大きな流れの中で捉えた場合に、個人の果たす役割はある種の偶然性に過ぎないわけで、偶然性の中に必然性が貫徹されているはずです。私たちがある事柄を見るときに、忘れてはならないのは「科学的に見る」という態度に徹することだと思います。


映画の紹介
 この映画は、1972年アメリカで封切られたもののようです。アメリカの映画であるからには、当時のアメリカで支配的であった考え方からは払拭できていないと考えるべきでしょう。(もちろんそれを凌駕した真にに素晴らしい映画もあったでしょうが・・) それを頭に置いた上で評価しなければなりません。

映画データ
製作: Columbia Pictures
原題: Royal Family
邦題: ニコライとアレクサンドラ
監督: Franklin Schaffner
出演: Michael Jayston, Janet Suzman, Roderic Noble


ストーリー
 1904年。ロシア皇帝ニコライと皇后アレクサンドラとの間に、皇太子アレクセイが誕生した。しかし、アレクセイが血友病にかかっていることが分かり、怪僧ラスプーチンの不思議な力で危機が一時的に回避された。それを機にアレクサンドラは彼を寵愛するようになるが、ラスプーチンは次第に皇帝までをも操り出す。これが王室の悲劇の始まりとなり、ロシア帝国の未来に暗雲が立ち込める…。

 皇帝とはいえ、個人の判断を国家としての判断の上に置いた悲劇であるともいえよう。



背景と見どころ
 この映画は、皇帝ニコライが、ラスプーチンに篭絡された皇后に拘泥することにより、現実を見ることではなく、かつての力のあった王朝の栄光の復活の実を夢見て、次第に孤立し、問題を先送りし、ずるずると成り行きに引きずられていく過程をしっかりと見ることが肝要です。そのうえで、今日のロシアに視点を移してみると、この大ロシア帝政の時代のロシアの再来を夢見た権力者がかつてのソ連の時代の力による栄光の復活を夢見て、やはり現実を見ることなく、孤立していく様がダブって見えることである。


詳しい説明は 【ニコライとアレクサンドラ】 ☜ こちらをクリックしてください
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2022年10月15日土曜日

ハンティングISIS:ISと戦うことを願う志願兵は傭兵なのか

ハンティング ISIS
ジハードに駆り立てられたIS戦士とISに対し義憤に燃えISを猟犬の如く駆り立てる志願兵

 いずれの若者の命も戦争を弄ぶ戦争屋の餌食となる愚を繰り返す 「Hunting ISIS」を観ました。生々しい戦闘映像です。志願兵は猟犬ではないはず。


歴史映画館が時代の節目となる出来事を画いた映画を発掘し、時代背景と共にお贈りします。今回は「Hunting ISIS」をお贈りします。

この映像は2015年に隆盛を誇ったISISとの戦いに挑んだ志願兵の映像だ。
 このハンティングISと言う映画の題名自体が私は極めて不遜なように思える。 このハンティングISという概念自体は正義なのであろうか。いつの世でもそうだが、この「正義とか義憤」という言葉はそうやすやすと使うものではない。しかもこのような抽象的な言葉は、尚更わかりにくい。
    ISと戦うことを願う志願兵が現実にはクルド人組織に入り、結果的にはトルコと戦っている現実等があり、結局「自分は何のために誰と戦っているのか分からなくなっている事さえ考えられる。これが日常の生活ならまだしも、何のためにか分からずに、人を殺すことは許されるのか。
 また志願兵の中にも、家でぶらぶらしていて、体が鈍ってしようがないから銃を持って戦いたいと言う不純な動機を語る人もいる実態もあり、必ずしも志願兵が素晴らしい行動であるとも言えないなど、複雑な要素を孕んでいる側面がみえてくる。 


映像の紹介
映像紹介記事
各地でテロ攻撃を仕掛け世界を恐怖に陥れたイスラム国、通称ISIS。この過激派組織の制圧に向かった民間兵士たちに密着取材を敢行。2015年からの激動の1年、戦地では何が起こっていたのか?そして兵士たちは何を求めて危険な地に足を踏み入れたのか?21世紀の「戦争」の実態が明らかになる。

映画データ
出演 ピーター・ジェソップ
ジャンル ドキュメンタリー, ホビー・実用
オーディオ言語 English

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     【ハンティング ISIS シーズン1 エピソード4】 ☜ こちらをクリックしてください


ストーリー
   欧米の青年たちが、自分たちが育ったふるさとを離れ、まるで何かに取り憑かれたかのように IS が猛威を振るう 激戦地で戦う様を描いたドキュメントである。

 彼らはISが人々を殺し殺戮する様を見てはおられないと言う義憤に駆られ、自分が戦うことしか平和を取り戻すことはできないという思いで戦いに参加をしている。
 彼らの目は純粋で濁りがない。
 しかしその純粋さを利用して(言い過ぎかもしれないが)国家は自らの意思を貫徹し、彼らを戦闘の地獄の坩堝へ 落とし込む。

  人々が 平和を守るという言葉の呪縛から解放され、真に平和を守るための戦いに入るためには、やはり一人一人が人々を殺すのではなく人々を守ると言う想いと行動に徹することである。「言うはやすし行うは難し」ではあるが、他に道はない。



背景と見どころ

前書き
 映像を見て、感じることは、ここに出てくる青年、兵士たちの眼が大変美しく澄んでいることである。 彼らは故郷から遠く離れたこの地でIS国による殺戮が行われその規模も拡大しているということを聞くに及んで、いてもたってもいられず自分が何とかしなければという思いに駆り立てられこの地に立っている。
一方彼らの故郷での生活の紹介もあったが、何も一見何の不自由もない裕福な家庭の青年たちのように思える。そういう意味では彼らは絶対に傭兵ではない。彼らは金のために、戦っているのではないことははっきりしている。それが彼らにとってある意味では 自負となっているであろう。彼らの美しい瞳と裏腹に彼らが現実否定的な考えに駆られているようにも思われ、称賛できる気にはなれない。

 一見したところでは、我々は彼らの行動に対して、 何も言う資格がないように思える。
 しかし、結局彼らは自己満足の行動に過ぎないのではないか。

平和を守るという大義名分をとってはいるが、自らの生活は食うに困らない、「生活の」ために戦うことを知らない若者の先走った行動のようにしか思えない。
 彼らの考え方の基底には、政府への不信感が横たわっているように思う。政府は「ISに対してしっかり対応すべきである」という単純な想いで戦闘に加わる。「ISは悪だ。放逐しなければならない。」ということで、戦闘に加わるのは、自ら悪に染まることと同じではないだろうか。
 やはり我々が求めなければならない行動はアフガニスタンの中村哲さんに続くということではなかろうか。彼自身が言うように「安易に自分に従ってはならない」。その通りであると思う。中村哲さんに続けと言う前に我々の前にはやるべきことが山積している。
 我々は自らを守る行動はしなければならないが、他人を攻撃することはやはりあってはならない。
 私たちに必要なのは彼らは彼らの戦い方があったとしても、私たちには自分たちの生活で戦い抜く。そして日常に埋没することなく 、常に平和と民主主義を攻撃する者に対し戦いを続けることだ思う。きれい事に聞こえるかも知れないが、きれい事で終わるのかどうかは、結局人々の生活を脅かすものと闘うのか闘わないのかに帰結する。


背景1
クルド人民防衛隊(クルド語: Yekîneyên Parastina Gel、略称:YPG)は、クルド民主統一党(PYD)の武装部門である。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

「シリアの反体制派組織の一つ」として括られることが多いが、イスラム過激派系の反体制派とは明確な敵対関係にある一方で、場合によってはアサド政権と協調し、その目的もアサド政権の打倒よりは自治権の拡大或いは独立と思われるため、「反体制派」というよりは「第三勢力」や「独立派」と呼称した方が正確である。 シリア北部のクルド人地域ロジャヴァを本拠とする。
YPGはシリア内戦 において、当初守勢を取り、ロジャヴァ地域を支配しようとする非クルド人集団に対してのみ闘っていた。後にYPGは、主にアラブ人が住むISISが支配する領域に進出し始めた(例えば2015年6月の国境の町Tell Abyadがそうである)。 状況や地域によってアサド政権と非イスラム過激派系の反体制派の双方と協調してきたYPGだが、2018年1月のトルコ軍のアフリーン侵攻に際し、反体制各派がトルコ軍と協調するか黙認する一方、YPGに支援要請を受けたアサド政権がこれに応じ援軍を派遣した事に加え、YPGの支援者であった欧米がトルコの侵攻を事実上黙認した事や、2018年12月にアメリカがシリアからの米軍撤退を発表した事が重なり、アサド政権との協調を強めた。 後に米軍の早期撤退が撤回されたことや、アサド政権との戦後交渉の不調、新型コロナウイルスの流行による勢力地域の固定化もあり、2020年現在は米軍の駐留を背景に勢力圏の維持を図りつつ、アサド政権との一定の協調関係も継続している。

背景2
2018年1月 トルコ軍のアフリーン侵攻 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 05:40 UTC 版)

1月5日夜~6日、シリアに駐屯するロシアのヘメイミーム空軍基地に対してドローン10機、タルトス海軍基地に対して3機による攻撃があり、ロシア軍が撃墜または捕獲したとロシア国防省が発表。 1月20日、トルコ大統領エルドアンが、クルド人勢力の民主連合党(PYD)が支配するシリア北部への攻撃(オリーブの枝作戦)開始を発表。 1月30日、ロシアが主導して同国南部ソチで開かれた「シリア国民対話会議」が憲法委員会の設置に合意。会議はアサド政権と反体制派のうち政権に融和的な一部のみが参加し、ジュネーブ和平協議に参加する反体制派代表団「高等交渉委員会」(HNC)は出席を拒否。 ※この「2018年1月 トルコ軍のアフリーン侵攻」の解説は、「シリア内戦」の解説の一部です。» 「シリア内戦」の概要を見る

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2022年10月5日水曜日

博士の異常な愛情:核戦争が現実になる恐怖  歴史は過去のものだけではなく未来のものだ

「博士の異常な愛情」に見る狂気が現実となる恐ろしさ!

この映画の現在的な意味
 核戦争の脅威は、ウクライナでも北朝鮮、台湾海峡においてもいよいよ現実のものとして迫りくる

 いまロシアのプーチン大統領の妄想と暴走により引き起こされたウクライナ侵略はウクライナとロシアだけの問題ではなく、全世界を巻き込んだ世界戦争に発展する恐れを秘めている。

 ロシアの長年のアメリカに対する恨み、アメリカがベトナム、アルジェンチン、リビア、イラン、イラクで何をしてきたかが背景にあると思われるが、それにしても今度のロシアのウクライナ侵略はあまりに狂気じみている。この狂気と暴走がが何を招くかこの映画は予測していたともいえる。

  偶発的なことも重なり、核戦争までいってしまう恐ろしさを描いたイギリス映画をあえて紹介します。誰もが見るべきイギリス映画「博士の異常な愛情」をお贈りします。

 


映画の紹介
北朝鮮とアメリカの間に繰り広げられている核戦争になるかも知れない危機的状況。設定は異なるかもしれないが、核による支配を企む気違いじみた博士とその周りの人々が世界を核戦争に追い込んでいく。それを回避しようとする努力が一応為されるが、連絡も絶った一機の爆撃機が、あらゆる防御網をかいくぐって、一発の核爆弾を投下してしまう。

映画データ
出演:ピーター・セラーズ(マンドレイク/マフリー大統領/Dr.ストレンジラブ)
ジョージ・C・スコット(バック・タージドソン将軍)、スターリング・ヘイドン(ジャック・リッパー准将)、キーナン・ウィン(バット・グアノ大佐)、スリム・ピケンズ(キング・コング少佐)

監督:スタンリー・キューブリック


ストーリー
 アメリカのバープルソン空軍基地。その司令官ジャック・D・リッパー准将は部下のマンドレイク大佐に基地を警戒態勢に置くよう指示。その上で空を巡回中のB-52戦略爆撃機34機に「ソ連領域内に侵攻し、搭載した核ミサイルを発射しろ」という命令を下します。全面核戦争への秒読みが始まったのです。
 ペンタゴンの指令など出されていないことが明らかになり、リッパーの独断専行を止めようとします。
 一方、ペンタゴンでは緊急事態に対処するため、ソ連大使を呼びだして戦略室に入れ、その目の前で大統領はソ連の首相と電話で会談しますが、事情を知った首相は激怒。報復手段を取ると宣言。
 アメリカ政府は状況を打開するため、リッパーから通信用の暗号を聞き出そうとリッパーの部屋を攻撃。基地の兵士らとの交戦があった後、リッパー准将は自殺。
 やがて暗号は解読され、ほとんどの爆撃機は引き返すが、1機だけは機器の故障でそのまま目的地に向かって侵攻する。爆撃機は核爆弾を投下。核は爆発。報復装置が起動されるため、まもなく人類は死に絶えるはず。
 しかし、大統領の科学顧問であるストレンジラヴ博士は、地下深い空間で僅かな優秀な人間だけでも生き残れば、まだ希望はあると熱心に説く。殆どの人間が死に絶えても・・。




背景と見どころ
 この映画は1964年にイギリスで作られている。  この映画は、司令官ジャック・D・リッパー准将と大統領の科学顧問であるストレンジラヴ博士の二人の人物を中心に話は展開する。
 司令官ジャック・D・リッパー准将は部下のマンドレイク大佐に基地を警戒態勢に置くよう指示することから始まる。

 ロシアのウクライナへの侵攻 はロシアのプーチン大統領単独の判断と言われているが、 この映画のジャックリッパー准将とストレンジラブ博士のふたりが、ロシアのプーチンの中で合体かされ、具現化されていると考えれば 、ロシアのウクライナ侵攻の舞台と背景を読み解きやすいのではなかろうか。

 もちろん映画はあくまでもフィクションであり現実に起こっているロシアのウクライナ侵攻はリアルな世界である。全く違う世界にもかかわらず、映画と現実の世界の中に共通性を見ないわけにはいかない。
  一つはロシアのプーチン大統領が、ストレンジラブ博士と同様に 狂気と妄想に支配されているのではないかということである。
 さらにもう一つはロシアのプーチンがロシアという国の最高権力者であり、すべて一人で動かせる位置にあることは映画の中のジャックリッパー准将と 同様であると考える。

  今回の事件が国家という大きな舞台の中で起こった問題ではあるが、 結局は独裁と言う仕組みの中でロシアのプーチン個人の妄想と狂気 に帰着する問題であるからだ。
  どんなに整備され民主的な国家であるにせよ最終的には ほんの一人あるいは一握りの人間の行動をいかに規制しし管理するかという問題になってしまう。

 その仕組みや権力が大きければ大きいほど、その権力を縛り民主的に管理できるかには大きなジレンマが伴う。



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2022年10月3日月曜日

中国二千年の皇帝政治の幕は切って落とされた・・「項羽と劉邦 鴻門の会」間違いなく天下分け目の闘い

「項羽と劉邦 鴻門の会」 項羽と劉邦

中国映画のDVD「項羽と劉邦 鴻門の会」を観ました。すばらしい映画です。
 「中国映画おすすめ100選への道」がこれはいいという中国の映画を探して、その時代の歴史的背景に注目して、映画の案内をお送りしています。
中国映画「項羽と劉邦 鴻門(こうもん)の会」:京劇でも有名な「覇王別記」のもう一つの舞台


映画の紹介
 中国の歴史の一大転換期と言われる春秋戦国時代にその名を轟かせた武将・項羽、劉邦、韓信らが、激闘を経てやがて覇王となっていく半生と生き様を描く。
 映画としては、「生き様」というより、両雄の「死に様」を対比させた映画である。私にとっては、項羽と虞妃の関係、劉邦と呂皇后との関係の対比が面白い。



映画データ
出演: ダニエル・ウー, リウ・イエ, チャン・チェン, チン・ラン
監督: ルー・チューアン
言語: 中国語 字幕: 日本語
販売元: パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
発売日 2014/11/12
時間: 116 分


  ストーリー
 ストーリーの主眼は、中国ではじめて統一国家を成し遂げた秦朝が倒れた後の後処理におかれる。

 項羽は劉邦が自分より先に(秦の本拠地の関中 (陝西省) に入った者が王となる約束していた)関中に入ったとして劉邦を抹殺しようとした。その衝突を心配した劉邦の将軍の張良や項羽の叔父の項伯らが和睦をはかり,咸陽の入口の鴻門で両者を会合させた (BC 206) 。

  この会合で劉邦は項羽に忠誠を誓った。項羽は劉邦を殺そうとするも、何とか逃れる。劉邦は陣を立て直し項羽を攻め、項羽は虞妃とともに自害し果てる。(この場面は京劇での演目「覇王別記」のクライマックスとして描かれている。
 天下を統一した劉邦は政敵の抹殺を図り、韓信もその計略に落ち、殺される。 



  背景と見どころ
 華々しい覇権の争いの場面とは異なり、この映画では、項羽の自害の場面、劉邦の死の床での死に様を描いた、実に暗い場面が続く。しかし、この二人は同じような戦いを経てのし上がったといえ、二人の死に様は大きく異なる。

 項羽が敵に囲まれ打ち果てたといえ、愛妃をそばに最後まで置き、死を嘆じて其れなりに毅然として死んだのに比べ、劉邦は天下を取ったといえ、老醜をさらして死んだ様は、あまり美しいものではない。
 覇王として残忍で暴虐ではあったが、虞妃を最後まで愛しつくした男気のある項羽は京劇「覇王別記」の主役として後世語り継がれた。

 無頼の徒から身を起こし、不倶戴天の敵項羽を打ち破り、中国に漢王朝という強大な国家を作り上げた、人の心をつかむのに長けた武将・劉邦の対比は興味深い。

 この映画は、劉邦は既に死の床にあるものの、韓信抹殺に主導的役割を果たす呂皇后の陰湿な計略を描き出す。劉邦亡き後、呂皇后は、劉邦の側室を酷い方法で殺すことになるが、そのあまりに惨い殺し方に、息子は厭世的になり、その後政治に遠ざかる様になったいわれています。

 さらに彼女自身は後代の唐代の武則天、清代の西太后とともに、三大悪女として汚名を天下に知られることになりました。呂皇后の殺戮の発端はこの韓信の抹殺に始まるといえましょう。

漢王朝の歴史的役割
 漢王朝とは劉邦が天下を統一して以降200年ほどで、倒れ、「新」という国が立つが、それまでの間を前漢(紀元前206年 - 8年)という。

 新が倒れ劉氏の一族が漢を再建し、三国時代の魏に禅譲するまでの間200年ほどを後漢(25年 - 220年)という。

 この二つの王朝(両漢)を総称して「漢王朝」と呼ばれる。また、この名前は中国全土や中国の主要民族を指す名称ともなった。

 漢王朝の歴史的役割とは、この400年で、中国の国家としての基盤が確立したといっていい。この意義は非常に大きいといわねばならないだろう。


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