2022年12月1日木曜日

映画「炎上する大地」:2019年春から約半年間の森林火災で、日本の国土面積の約4分の1にも当るオーストラリアの森林が焼失した

「炎上する大地」

 歴史映画館が時代の節目となる出来事を画いた映画を発掘し、時代背景と共にお贈りします。今回は「炎上する大地」をお贈りします。
 この映画は2019年9月から2010年上旬にかけてオーストラリアで起こった未曽有の森林火災のことを取り上げたものである。


「炎上する大地」を観ました。
 これは過去の歴史の問題ではなく、今まさに地上で起こっている地球の歴史に係る事態を取り上げたものである。地球の平均温度は数十年前と比べ、上昇し続け、2018年には、平均で1度は上昇し、オーストラリアは1.5度上昇したといわれている。これが上昇し続ければ、人類は存亡の危機に陥るといわれ、今はその瀬戸際にある。
 この映画は、この地球的危機に警鐘を鳴らしているものである。私たちはこうした映像からの警告を素直に受け取り、私たち自身の生命の存続の問題として具体的な行動に移してゆかねばならないと考える。

 ここ数年異常気象が続き、オーストラリアの森林火災の発生のリスクが臨界点に達し、オーストラリアの若者もそれに気づき、気象学者や地球物理学者も政府や時の権力者に対し、大災害の警告を発していた。
 その警告の通り、2019年9月から2020年春にかけて、オーストラリアの熱帯雨林をはじめとして全土の密林で大火災が発生し、オーストラリアの自然や農作物、人家などに壊滅的な災害をもたらした。これは地球温暖化の影響が具体的な森林火災として発現したものである。
 そしてこのことはオーストラリアのみならず、アメリカ、アマゾンなど世界の熱帯雨林nが火災のために次々に消滅していっていることを考えると身震いが出るほど恐ろしいことである。
 この映画は、地球温暖化と阻止すべしという気象学者、地球物理学者や若者の運動とそれを陰謀として温暖化などは戯言として、化石燃料を守り、従来の産業構造を変えず、資本家の権益を守りたいとする人々のせめぎ合いを映像の形に見える化したものである。


映画の紹介
背景と見どころ
 この映画では、オーストラリアの森林火災は、地球温暖化ガスの蓄積により、地球の表面温度が上奏したことが主たる原因であるという認識に立っている。
そのうえで、オーストラリア国内における森林火災の主たる要因は下記の通りと見られている。
  1.  空気の乾燥と降水量の減少
  2.  温暖化による気温の上昇
  3.  油分を多く含む樹木の群生
  4. インド洋の『ダイポールモード現象』によりオーストラリア付近の降雨の異常現象

  5.  など悪条件が重なったといわれています。また直接の原因としてたき火やタバコの消し忘れなどによる人為的な原因主張されてもいるが、この記録で取り上げられたような大規模火災は、戦争でもない限り人為的なものでは起こり得ない。したがってこれを今回の問題として主張するのは、問題から目を逸らそうとする勢力の策謀といわれている。

     この映画に登場する若者も、この認識に立って、オーストラリア政府高官や一部富裕層に対し怒りを強くしている。

     このように意識が分断されているが、意識の問題は別として、温室ガスの蓄積と地球温暖化は現実の問題として解決が迫られていることだけは全ての人々が肝に銘じておかねばならないことである。

映画データ
監督    エヴァ・オーナー
ジャンル   サスペンス, ドラマ, ドキュメンタリー
字幕    日本語,العربية, その他…
Čeština, Dansk, Deutsch, Ελληνικά, English [CC], Español (Latinoamérica), Español (España), Suomi, Filipino, Français, עברית, हिन्दी, Magyar, Indonesia, Italiano, 한국어, Bahasa Melayu, Norsk Bokmål, Nederlands, Polski, Português (Brasil), Português (Portugal), Română, Русский, Svenska, தமிழ், తెలుగు, ไทย, Türkçe, 中文(简体), 中文(繁體)
オーディオ言語 English, English [Audio Description]

地球温暖化をめぐる世界の動き
 1980年代後半から、地球温暖化防止のための取り組みの必要性が認識されるようになり、
 1992年に国連のもとで、世界の国々の約束として「気候変動枠組条約」が採択され、1994年に発効した。
 この条約の目的は、『温暖化防止のため、大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させること』です。
 その後の締約国による協議のなかで、先進国の温室効果ガス排出量について法的拘束力のある各国ごとの削減義務を定めた京都議定書が採択されました。
この議定書に基づき、各国の具体的なCO2 s削減量が国際的に取り決められました。
 2015年にフランス・パリにおいて開催された 国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)では、新たな法的枠組みとなる「パリ協定」を含むCOP決定が採択されました。パリ協定は、「京都議定書」の後継となるもので、2020年以降の気候変動問題に関する国際的な枠組みです。
 このパリ協定の発効には55ヵ国以上が批准し、その排出量が世界の温暖化 ガス排出量の55%に達する必要がありましたが、採択の翌年2016年10月5日にこの条件を満たし、同年11月4日に発効されました。その後アメリカがパリ協定から離脱することもあったが、現在ではアメリカのバイデン大統領がトランプの離脱宣言を覆し、パり協定に復帰し、世界が一丸となってこの取り組みが進められることが期待している。








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2022年11月26日土曜日

さらばわが愛 北朝鮮:北朝鮮の生まれが分かる、今の北朝鮮が見えてくる、そしてこれからの北朝鮮も癒えてくる

さらばわが愛 北朝鮮

「さらばわが愛 北朝鮮」を観ました。心揺さぶられるドキュメンタリーです
 歴史映画館が時代の節目となる出来事を画いた映画を発掘し、時代背景と共にお贈りします。今回は「さらばわが愛 北朝鮮」をお贈りします。
  このブログに来ていただきありがとうございます。
  この映画の表題の「さらばわが愛、北朝鮮」の「愛」は祖国愛のことだと思います。祖国の北朝鮮をこよなく愛するからこそ、その祖国である北朝鮮が金日成により簒奪され、踏みにじられた祖国・北朝鮮と決別しなければならなかった悲しみが込められていると思います。しかし、それでも祖国のために何かしたいという気持ちにあふれているように思います。
  このブログに来ていただいた方は、「今の北朝鮮はどうなっているのだろう」「北朝鮮は我々に何かするのではないか。恐ろしい」という疑問や不安をお持ちの方が殆どだろうと思います。
この映画を見れば、「なぜ北朝鮮はこうまでミサイルを撃ち込んでくるのか?」の答えがわかります。
その答えは金日成にあり!
  このブログは北朝鮮と言えども、決して今の金正恩体制がずっと続くわけではないことを言いたいと思います。いくら金正恩体制が強固に思えても、、大衆の生活や要求を無視して続くはずはないことだけは確かなことだと思います。
 ではいつまで続くのかという疑問ですが、それは私たちの声を大きく張り上げ、自分たちの要求を口に出すことだと思います。「生ぬるい」という人もいるでしょう。しかし生ぬるいといって、好戦論者の尻馬に乗ったり、沈黙を守るよりははるかに前向きに思えるのですが・・。絶対に戦争をしてはなりません。  


映画の紹介
 ここで取り上げる話は今北朝鮮を支配している金正恩のおじいさんの金日成の時代が始まりです。
 この物語の主人公はモスクワ映画大学の八人の学生たちです。
 学生といっても、彼らは1954年に起こった朝鮮戦争の中で北朝鮮の兵士としての立派な評価を得て闘った後、戦後北朝鮮からモスクワ映画大学に留学することができたエリートだったのです。
  ところが留学中の1956年北朝鮮で宗派事件という事件が発生します。この事件は金日成が北朝鮮労働党中にあった延安派、ソ連派、南労党派などを粛清し、独裁体制を確立した事件です。
  この事件に対して、8人の留学生たちは金日成を批判する活動を展開します。結果として彼らは国からは見放され、ソ連に亡命することとなりました。

 この物語は北朝鮮という自分の故郷をから見放され苦しい亡命生活を余儀なくされながらも、しっかりと映画人としての自覚を失わず戦い続けた人々の物語です。

 私たちはどんなに苦難の中にあっても、人間として尊厳を見失うことなかった八人の人々に対して強い感銘を覚えるものです。


映画データ
監督 キム・ヨソン
出演 キム・ジョンフン, チェ・グギン, ハン・デヨン
ジャンル   外国映画, ドキュメンタリー
オーディオ言語 한국어
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ストーリー
 1950年代にモスクワ国立映画大学に留学した北朝鮮の8人の若者たちのその後を追ったドキュメンタリー。1952年、北朝鮮からモスクワ国立映画大学に留学した8人の若者が、エリートとして約束された北朝鮮での将来を捨て、祖国に帰国しない道を選択する。56年に起こったクーデターの宗派事件をきっかけに当時の金日成体制を批判し、58年にソ連に亡命した彼らは、カザフスタンを始めとするユーラシアの各地で映画監督や作家として活動する。連作ドキュメンタリー「女性史三部作」や劇映画「ビューファインダー」のキム・ソヨン監督(C)822Films+Cinema Dal


背景と見どころ
 今北朝鮮では、金日成の孫の金正恩が独裁体制の頂点にあり、東アジアに不穏な空気を醸し出している。
 この少し前の1960年前後は北朝鮮の千里馬(チョンリマ)運動、金日成の貫島パルチザン物語などが喧伝され、金日成の個人崇拝が高められていきました。
 また同じころ日本では、北朝鮮への帰還運動が始まり、大勢の人々が、夢と希望をもって日本を離れ北朝鮮に向かいました。
しかしながらあとで伝え聞くところによるとこれらの夢と希望は儚く打ち捨てられ、北朝鮮に渡った人々は非常に苦しい生活を強いられてと聞きます。
 これらのことを考えると結果論ではありますが、金日成のなしたことといえば北朝鮮を奪い取り、騙し取り自分のものにする独裁体制を築くことではなかったかと言えます。

ここに述べられた八人の人々 、また日本から北朝鮮に渡った数え切れない人々は、金日成の策動の犠牲者であると言えます。
 そしてその苦難の道は、今なお途切れることなく、金正日、金正恩に受け継がれ、東アジアの人々を苦しめていると言えます。
 だからといって、北朝鮮に対して敵対的な行動をとり戦いを仕掛けていいというものではありません。 外交や民間の交流は粘り強く、推し進めるべきものと考えます。





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2022年11月10日木曜日

ミュンヘン Munich:ミュンヘン・オリンピックで起きたイスラエル選手へのテロ事件はオリンピックの歴史を変えた

ミュンヘン Munich (字幕版):ミュンヘン・オリンピックで起きたイスラエル・アスリートテロ事件はオリンピックの歴史を変えた

「ミュンヘン Munich」を観ました。すさまじい映画です。
歴史映画館が時代の節目となる出来事を画いた映画を発掘し、時代背景と共にお贈りします。今回は「ミュンヘン Munich 」をお贈りします。

ページの要約
 1972年のミュンヘン・オリンピック開催中に、11名のイスラエル選手の内2名が選手村で殺され、残り9人が人質にされ空港で殺された。
 この事件はオリンピックの精神を根本から揺るがし、ある意味でオリンピックの歴史を一挙に塗り替えた出来事であった。

 これを機に各国では一挙にセキュリティー警備体制づくりが活発化した。日本でもSATなどの高度な警備システム体制の構築が急がれた。
 なお、SATとは「特殊急襲部隊 (とくしゅきゅうしゅうぶたい、 英語: Special Assault Team)」のことを言い、日本の警察 の 警備部 に編成されている 特殊部隊のことである。
さてこの映画はこの凶悪なテロ事件に報復するイスラエルの国家諜報組織の報復活動を追ったドキュメンタリーである。 当時のイスラエル政府はこの事件をユダヤ人に対するテロ事件として報復を決定。イスラエルの諜報機関であるモサドのメンバーにミュンヘンのテロ事件に関わったパレスティナのメンバーの殺害を指令する。 指令を受けたもモサドのメンバー数名は自らの国籍を消し、あらゆる知己との連絡を絶ち、次々と殺害を実行して行く。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★
映画の紹介
  この映画の始まりはミュンヘンオリンピック村にテロリストが侵入することから始まる。
 しかしこの映画の主張は、このテロ事件そのものではなく、イスラエルの諜報組織がテロリストに報復することに主眼が置かれている。  そこには非常に強い民族性と国家観、裏打ちされ観るものに強い衝撃を与える。
 この映画の意義はテロリズムに対してはそれに応じた強い報復が伴うものであるいうことを人々に訴えたことでだろうか。
 私はスピルバーグほどの監督であればもう一歩踏み込んで、これらのテロと報復の連鎖をいかに断ち切るかの糸口を探って欲しかったが、ここでは回答は示されてはいない。


映画データ
監督  スティーヴン・スピルバーグ
出演  エリック・バナ, ダニエル・クレイグ, キアラン・ハインズ
ジャンル  サスペンス, ドラマ, 歴史, アクション
オーディオ言語  日本語

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ストーリー
  1972年のミュンヘン・オリンピック開催中に、11名のイスラエル選手が人質にされ、その後殺された。この凶行に及んだのはパレスチナのテロリスト・グループ“黒い九月”。テロリストたちはイスラエルの選手たちを人質に取りイスラエルの政府に対し要求をつきつけた。その要求は「ソ連の軍事政権が政治犯として拘束している200人の囚人の解放」であった。 イスラエル政府は報復することを決め、諜報機関モサドのメンバーから精鋭を選び、事件の首謀者の暗殺に当たらせるのだった。


背景と見どころ
 この事件によって、オリンピックが、『平和の祭典』という見かけの安寧がかなぐり捨てられ、結局は現実の政治や民族の問題から逃れることはできなかったことを示している。
 理由はどうであれ、平和的に過ごしている無防備な人々を襲撃し殺してしまうということはやはり許されないことだ。これを許してしまえば、大儀名分さえつければ何をしても許されることがまかり通る。世界は無秩序なカオスに落ち込んでしまうであろう。

 しかしこの問題を実際にどう解決すべきかという糸口は全く見出すことができない。第二次世界大戦後のイスラエルの国家建設そのものに歯車を戻さなければならない。
 次にイスラエルの対応そのものについても言及されなければならない。イスラエルがこのテロリストに対する報復として、テロで報いたということは、「目には目を、歯には歯を」そのものであり、イスラエルの正当性は失われてしまう。
 この映画の見どころの一つはイスラエルの諜報組織が、執拗にテロ関係者を追い詰め殺戮を繰り返して行くことである。
 そこには組織の中に組み込まれた人間が、その人が本来どんなに人間的であったとしても、自らの任務を遂行せざるを得ないことである。
その意味では、組織と人間性は本来相容れないものである。理想は個人の思いと組織の思いが一致することであるが、そのようなことはありえないことなのだろうか。

 この問題の解決の糸口は、パレスティナ、イスラエル双方が、にくしみの行動をとにかく一旦中止し、冷静に話し合うことしかない。その際関係国および大国の援助が必要となるが、この時には関係する国々はパレスチナ、イスラエル双方に加担することなく平等な援助が望まれる。
 人間はどうしてこうも愚かなのだろう。



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2022年10月31日月曜日

アラビアのローレンス:第一次世界大戦前夜、ローレンスが中東で果たした歴史的役割は何だったのか

アラビアのローレンス

「アラビアのローレンス」を観ました。第一次世界大戦後の世界を決定づけた人物
 先日、エリザベス女王がなくなりました。最長の在位期間を誇り、世界中から惜しまれたと伝えられています。しかし、彼女の死は間違いなく戦後の時代を画するものとなるでしょう。それはエリザベス女王の生き方や彼女の歴史的役割がそのようなものだったということではなく、大きく変化する中で、イギリス連邦が名実ともに崩壊の時期を迎えることになったということでしょう。イギリス連邦の構成国の中ですら、「イギリス連邦の存在意義は?」という問いかけに、明確に答えを出すことができなくなってきているのではないでしょうか。


イギリスは中東に責任を負わなければならない。
 歴史映画館が時代の節目となる出来事を画いた映画を発掘し、時代背景と共にお贈りします。今回は第一次大戦後の中東世界を決定づけた大英帝国の帝国主義的野望を画いた「アラビアのローレンス」をお贈りします。
 この映画は実在のトーマス・エドワード・ロレンス(Thomas Edward Lawrence、1888年8月16日 - 1935年5月19日)をモデルにしたもので、彼は大英帝国の命を受けて、オスマン帝国に対するアラブ人の反乱(アラブ反乱)を指導した人物で、良きにつけ悪しきにつけ、近代の大英帝国史上これほど大きな仕事を成し遂げた人物はいないと考える。
 現在のアラブを含む中東情勢はローレンスによって決定付けられたといってもいい。それ故、今アラブに起こっているすべてのことに、 イギリスは責任を負わなければならない義務を負っていると考える。



映画の紹介
 この映画に出てくるローレンスの細かい所作をについては必ずしも史実とは言えないかもしれない。 しかしこの映画全体を通して、描かれている内容は、ほぼ忠実に史実に沿ったものと考える。 その意味でこの映画の歴史的役割はかなり高いものと受け止めている。
 この映画の背景については、後ろの項目で語られるが、 オスマントルコは衰退するにつれて、それまで圧迫されていたアラブ民族が台頭し新しい勢力が築かれていく。   しかしそうした中にあって、大英帝国即ち現在のイギリスが自らの帝国主義的野望を貫徹するべくこの地に置いて画策をし、 中東の世界に混乱と不信を撒き散らしたことについては、100年経った今でも責任を負わなければならないだろう。



映画データ
監督  デーヴィッド・リーン
出演  ピーター・オトゥール, アレック・ギネス, アンソニー・クイン
ジャンル  ドラマ, 歴史, 冒険, アクション, 軍隊・戦争
オーディオ言語 English


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ストーリー

 1914年、第一次世界大戦が勃発し、アラビアはドイツと結んだトルコ帝国の圧政下にあった。英国は、ドイツ連合軍の勢力を分散させるため、稀代の天才戦略家ロレンスをアラビアに派遣する。
 アラビ王族のファイサル王子の軍事顧問となったロレンスは、ハリト族のリーダー、アリや黄金を探し求めるアウダらとともに、独自のゲリラ戦法を駆使して反乱軍を指揮し、アラブ国民から砂漠の英雄とうたわれるようになる。
 だが次第に自分が軍上層部に利用されていることを知り、アラブ民族もまた、部族間の対立からロレンスを裏切っていく・・・。


背景と見どころ

  オスマントルコは13世紀に建国され、20世紀初頭までその巨大な権力をふるってきた。17世紀末から衰退に向かい、この映画の時代は、まさしく死に体の状態だあった。

 オスマントルコは基本的には農業国であったが、その立地条件を生かし、長い間自給自足の体制をとってきた。周辺諸国で、産業革命がおこり、工業化の波が押し寄せたにも拘らず、その工業化の波に乗り遅れた結果、19世紀には立ち行かなくなっていた。

 にも拘らず、過去の栄光にこだわり続け、当時事実上支配していたアラブ諸国にも独立の機運が高まっていた。大英帝国はその中東にくさびを打ち込むべく、ローレンスを派遣し、ものの見事にアラブの反乱を成功させた。
 この映画の最期の部分では、主導権を勝ち取ったアラブの部族が抗争し紛糾する場面が出てくるが、それこそ、オスマン亡き後の中東の混乱を見事に表現しているといえよう。






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2022年10月30日日曜日

近代中国の扉をこじ開けた男 「孫文-100年先を見た男」

孫文-100年先を見た男

孫文こそが1911年、東洋で初めての民主主義革命である辛亥革命を成功させた立役者である。この革命は、秦朝以来2000年以上も続いた専制政治を打倒したという点で、世界でも最も特筆すべき大事件である。

映画の紹介
今から100年余年前!世界中に激震が走った。誰もがあの清朝が瀕死の状態にあることは認識していたにも拘らず、現実に倒れてしまうことは予想できなかったのではないだろうか。

映画データ
  • 出演: ウィンストン・チャオ(趙 文瑄),アンジェリカ・リー, ウー・ユエ, チャオ・チョン, ワン・ジェンチョン 
  • 監督: デレク・チウ(趙崇基)
ストーリー

1910年、中国近代国家への夜明けにつながる“革命前夜”。 亡命の地マレーシア・ペナン島を舞台に、度々の革命失敗の苦境と失意、そして暗殺の危険に遭いながらも、愛する人に支えられ、理想を失わなかった世界的革命家・孫文の闘いと愛の日々を描く一大歴史ロマン。

歴史的背景と見どころ
 辛亥革命から何を学ぶか?辛亥革命も当時の人々にとっては何故起こったのかわからなかったのかも知れない。昨年起こったイギリスのEU離脱の意思表示と同じ様に、「この世の中何が起こるかわからない」と見ていたのかもしれない。しかし、イギリス内部に蔓延していた、閉塞感を正しく見ていさえすれば、正しく予見する人間がいたのかもしれない。
 辛亥革命を現実に可能ならしめたのは、満州族の支配に対する閉塞感とも云われる。アヘン戦争で敗れるわ、大平天国の乱ではぐちゃぐちゃになるわ、外国列強や日本から好き勝手にされるわ、全てに亘って中国の民衆は劣悪な状態に置かれた。やがてそれは爆発し、民族主義的な熱情を噴出しながら突き進んだ。
 今全世界で起きているカオスのような出来事も、結局それを可能ならしめるものは、人々の貧富の差や失業生活不安、自分達の意志でどうにもならないという閉塞感が人々を突き動かしているとも云えまいか。とすれば、100年前に起こったと同じことが我々の目の前で起こっても不思議ではない。そして辛亥革命の激震が、ロシアに飛び火し、レーニンの率いる10月革命へと波及していったように。
 これからいかなる激震が我々を襲うだろうか? 我々はもっと賢くならなければならない。これが歴史から学ぶということだろう。
 それにしても主人公、趙 文瑄(ウィンストン・チャオ)のかっこよさ。冷徹なまでに研ぎ澄まされた革命家を好演している。すばらしい。


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イメージ:巨大なイーグルが神戸にある八角の楼閣(移情閣)に現る
世界の歴史の扉を切り開く
孫文は神戸にある八角の楼閣(移情閣)に一時滞在し、やがて革命の渦中に戻っていく
孫文の起こした民主主義革命の波はロシアへと広がり、ロシア革命で噴出する


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ニコライとアレクサンドラ・・ロシア帝国がいかに崩壊したか:プーチンはこの歴史を拭い去れるのか

映画:「ニコライとアレクサンドラ」
繰り返されるロシアの悲劇100年前の皇帝に代って独裁者プーチンの降臨

今から約百年前まで、ロシアは皇帝ニコライが専制政治を敷いていました。そして今、プーチンによる専制政治(独裁)がひかれています。民族解放を標榜し、帝政を倒し国民が主人公てとなる民主主義のために闘ったロシア民族は今どこに行ったのでしょう。

原題:「The Royal Family」をご紹介します。
今進行しているロシアのウクライナ侵攻を判断する材料として、この映画を取り上げてみたいと思います。
 2022年の現在ロシアのウクライナ侵攻が、 世界中の大きな非難を巻き起こしています。 しかしながらロシアのプーチンはこの非難に怯むことなくウクライナ屈服させようと大量殺戮の手段まで訴えています。

 この映画は、ちょうど100年前に、ロシアはロシア革命が勃発し、その時までにロシアを支配していた倒れ行く、ロマノフ王朝を舞台にしています。

 この映画の主人公はロシアの最後の皇帝ニコライとその妻のアレクサンドラです。実はこの映画の主人公はもう一人いるのです。それはラスプーチンという怪僧です。この人も実在した人物ですが、すでに末期的症状を見せていた、王朝の中に巣食い、皇后アレクサンドラの寵愛を受け、ロシア革命の前夜にロシアの帝政の政治を大きく混乱させた人物です。

 最近ロシア正教のトップのキリル総主教がニュースの取り上げられています。キリル総主教は、プーチンの精神的盟友ともいわれており、ロシアのウクライナ侵攻を支持しています。
 ロシア帝政当時の宗教的な環境と、現代の政治的環境の違いがどうなっているのかは知りませんが、現在でも100年前と同じように宗教の政治的影響は無視できないところにあると考えるべきでしょう。

 いずれにせよ、国家としての正常なる判断が失われ、ウクライナに一方的に侵略することになったと考えられますが、プーチンを突き動かしたものはなんだったろう。それはプーチンに聞いてみないとわからないと大概の人は言うでしょう。
 プーチンを取り巻く環境、ロシアの歴史及びロシアの経済的政治的地理的に置かれた環境などプーチンがどのように育てられたか知ることが、プーチンの個人の考えを云々するよりもっと大事なことと考えています。

  個人が歴史の中で果たす役割は、歴史の一瞬一瞬では大きなものであるかもしれません。しかし歴史を大きな流れの中で捉えた場合に、個人の果たす役割はある種の偶然性に過ぎないわけで、偶然性の中に必然性が貫徹されているはずです。私たちがある事柄を見るときに、忘れてはならないのは「科学的に見る」という態度に徹することだと思います。


映画の紹介
 この映画は、1972年アメリカで封切られたもののようです。アメリカの映画であるからには、当時のアメリカで支配的であった考え方からは払拭できていないと考えるべきでしょう。(もちろんそれを凌駕した真にに素晴らしい映画もあったでしょうが・・) それを頭に置いた上で評価しなければなりません。

映画データ
製作: Columbia Pictures
原題: Royal Family
邦題: ニコライとアレクサンドラ
監督: Franklin Schaffner
出演: Michael Jayston, Janet Suzman, Roderic Noble


ストーリー
 1904年。ロシア皇帝ニコライと皇后アレクサンドラとの間に、皇太子アレクセイが誕生した。しかし、アレクセイが血友病にかかっていることが分かり、怪僧ラスプーチンの不思議な力で危機が一時的に回避された。それを機にアレクサンドラは彼を寵愛するようになるが、ラスプーチンは次第に皇帝までをも操り出す。これが王室の悲劇の始まりとなり、ロシア帝国の未来に暗雲が立ち込める…。

 皇帝とはいえ、個人の判断を国家としての判断の上に置いた悲劇であるともいえよう。



背景と見どころ
 この映画は、皇帝ニコライが、ラスプーチンに篭絡された皇后に拘泥することにより、現実を見ることではなく、かつての力のあった王朝の栄光の復活の実を夢見て、次第に孤立し、問題を先送りし、ずるずると成り行きに引きずられていく過程をしっかりと見ることが肝要です。そのうえで、今日のロシアに視点を移してみると、この大ロシア帝政の時代のロシアの再来を夢見た権力者がかつてのソ連の時代の力による栄光の復活を夢見て、やはり現実を見ることなく、孤立していく様がダブって見えることである。


詳しい説明は 【ニコライとアレクサンドラ】 ☜ こちらをクリックしてください
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2022年10月15日土曜日

ハンティングISIS:ISと戦うことを願う志願兵は傭兵なのか

ハンティング ISIS
ジハードに駆り立てられたIS戦士とISに対し義憤に燃えISを猟犬の如く駆り立てる志願兵

 いずれの若者の命も戦争を弄ぶ戦争屋の餌食となる愚を繰り返す 「Hunting ISIS」を観ました。生々しい戦闘映像です。志願兵は猟犬ではないはず。


歴史映画館が時代の節目となる出来事を画いた映画を発掘し、時代背景と共にお贈りします。今回は「Hunting ISIS」をお贈りします。

この映像は2015年に隆盛を誇ったISISとの戦いに挑んだ志願兵の映像だ。
 このハンティングISと言う映画の題名自体が私は極めて不遜なように思える。 このハンティングISという概念自体は正義なのであろうか。いつの世でもそうだが、この「正義とか義憤」という言葉はそうやすやすと使うものではない。しかもこのような抽象的な言葉は、尚更わかりにくい。
    ISと戦うことを願う志願兵が現実にはクルド人組織に入り、結果的にはトルコと戦っている現実等があり、結局「自分は何のために誰と戦っているのか分からなくなっている事さえ考えられる。これが日常の生活ならまだしも、何のためにか分からずに、人を殺すことは許されるのか。
 また志願兵の中にも、家でぶらぶらしていて、体が鈍ってしようがないから銃を持って戦いたいと言う不純な動機を語る人もいる実態もあり、必ずしも志願兵が素晴らしい行動であるとも言えないなど、複雑な要素を孕んでいる側面がみえてくる。 


映像の紹介
映像紹介記事
各地でテロ攻撃を仕掛け世界を恐怖に陥れたイスラム国、通称ISIS。この過激派組織の制圧に向かった民間兵士たちに密着取材を敢行。2015年からの激動の1年、戦地では何が起こっていたのか?そして兵士たちは何を求めて危険な地に足を踏み入れたのか?21世紀の「戦争」の実態が明らかになる。

映画データ
出演 ピーター・ジェソップ
ジャンル ドキュメンタリー, ホビー・実用
オーディオ言語 English

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     【ハンティング ISIS シーズン1 エピソード4】 ☜ こちらをクリックしてください


ストーリー
   欧米の青年たちが、自分たちが育ったふるさとを離れ、まるで何かに取り憑かれたかのように IS が猛威を振るう 激戦地で戦う様を描いたドキュメントである。

 彼らはISが人々を殺し殺戮する様を見てはおられないと言う義憤に駆られ、自分が戦うことしか平和を取り戻すことはできないという思いで戦いに参加をしている。
 彼らの目は純粋で濁りがない。
 しかしその純粋さを利用して(言い過ぎかもしれないが)国家は自らの意思を貫徹し、彼らを戦闘の地獄の坩堝へ 落とし込む。

  人々が 平和を守るという言葉の呪縛から解放され、真に平和を守るための戦いに入るためには、やはり一人一人が人々を殺すのではなく人々を守ると言う想いと行動に徹することである。「言うはやすし行うは難し」ではあるが、他に道はない。



背景と見どころ

前書き
 映像を見て、感じることは、ここに出てくる青年、兵士たちの眼が大変美しく澄んでいることである。 彼らは故郷から遠く離れたこの地でIS国による殺戮が行われその規模も拡大しているということを聞くに及んで、いてもたってもいられず自分が何とかしなければという思いに駆り立てられこの地に立っている。
一方彼らの故郷での生活の紹介もあったが、何も一見何の不自由もない裕福な家庭の青年たちのように思える。そういう意味では彼らは絶対に傭兵ではない。彼らは金のために、戦っているのではないことははっきりしている。それが彼らにとってある意味では 自負となっているであろう。彼らの美しい瞳と裏腹に彼らが現実否定的な考えに駆られているようにも思われ、称賛できる気にはなれない。

 一見したところでは、我々は彼らの行動に対して、 何も言う資格がないように思える。
 しかし、結局彼らは自己満足の行動に過ぎないのではないか。

平和を守るという大義名分をとってはいるが、自らの生活は食うに困らない、「生活の」ために戦うことを知らない若者の先走った行動のようにしか思えない。
 彼らの考え方の基底には、政府への不信感が横たわっているように思う。政府は「ISに対してしっかり対応すべきである」という単純な想いで戦闘に加わる。「ISは悪だ。放逐しなければならない。」ということで、戦闘に加わるのは、自ら悪に染まることと同じではないだろうか。
 やはり我々が求めなければならない行動はアフガニスタンの中村哲さんに続くということではなかろうか。彼自身が言うように「安易に自分に従ってはならない」。その通りであると思う。中村哲さんに続けと言う前に我々の前にはやるべきことが山積している。
 我々は自らを守る行動はしなければならないが、他人を攻撃することはやはりあってはならない。
 私たちに必要なのは彼らは彼らの戦い方があったとしても、私たちには自分たちの生活で戦い抜く。そして日常に埋没することなく 、常に平和と民主主義を攻撃する者に対し戦いを続けることだ思う。きれい事に聞こえるかも知れないが、きれい事で終わるのかどうかは、結局人々の生活を脅かすものと闘うのか闘わないのかに帰結する。


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クルド人民防衛隊(クルド語: Yekîneyên Parastina Gel、略称:YPG)は、クルド民主統一党(PYD)の武装部門である。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

「シリアの反体制派組織の一つ」として括られることが多いが、イスラム過激派系の反体制派とは明確な敵対関係にある一方で、場合によってはアサド政権と協調し、その目的もアサド政権の打倒よりは自治権の拡大或いは独立と思われるため、「反体制派」というよりは「第三勢力」や「独立派」と呼称した方が正確である。 シリア北部のクルド人地域ロジャヴァを本拠とする。
YPGはシリア内戦 において、当初守勢を取り、ロジャヴァ地域を支配しようとする非クルド人集団に対してのみ闘っていた。後にYPGは、主にアラブ人が住むISISが支配する領域に進出し始めた(例えば2015年6月の国境の町Tell Abyadがそうである)。 状況や地域によってアサド政権と非イスラム過激派系の反体制派の双方と協調してきたYPGだが、2018年1月のトルコ軍のアフリーン侵攻に際し、反体制各派がトルコ軍と協調するか黙認する一方、YPGに支援要請を受けたアサド政権がこれに応じ援軍を派遣した事に加え、YPGの支援者であった欧米がトルコの侵攻を事実上黙認した事や、2018年12月にアメリカがシリアからの米軍撤退を発表した事が重なり、アサド政権との協調を強めた。 後に米軍の早期撤退が撤回されたことや、アサド政権との戦後交渉の不調、新型コロナウイルスの流行による勢力地域の固定化もあり、2020年現在は米軍の駐留を背景に勢力圏の維持を図りつつ、アサド政権との一定の協調関係も継続している。

背景2
2018年1月 トルコ軍のアフリーン侵攻 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 05:40 UTC 版)

1月5日夜~6日、シリアに駐屯するロシアのヘメイミーム空軍基地に対してドローン10機、タルトス海軍基地に対して3機による攻撃があり、ロシア軍が撃墜または捕獲したとロシア国防省が発表。 1月20日、トルコ大統領エルドアンが、クルド人勢力の民主連合党(PYD)が支配するシリア北部への攻撃(オリーブの枝作戦)開始を発表。 1月30日、ロシアが主導して同国南部ソチで開かれた「シリア国民対話会議」が憲法委員会の設置に合意。会議はアサド政権と反体制派のうち政権に融和的な一部のみが参加し、ジュネーブ和平協議に参加する反体制派代表団「高等交渉委員会」(HNC)は出席を拒否。 ※この「2018年1月 トルコ軍のアフリーン侵攻」の解説は、「シリア内戦」の解説の一部です。» 「シリア内戦」の概要を見る

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