2022年12月1日木曜日

映画「炎上する大地」:2019年春から約半年間の森林火災で、日本の国土面積の約4分の1にも当るオーストラリアの森林が焼失した

「炎上する大地」

 歴史映画館が時代の節目となる出来事を画いた映画を発掘し、時代背景と共にお贈りします。今回は「炎上する大地」をお贈りします。
 この映画は2019年9月から2010年上旬にかけてオーストラリアで起こった未曽有の森林火災のことを取り上げたものである。


「炎上する大地」を観ました。
 これは過去の歴史の問題ではなく、今まさに地上で起こっている地球の歴史に係る事態を取り上げたものである。地球の平均温度は数十年前と比べ、上昇し続け、2018年には、平均で1度は上昇し、オーストラリアは1.5度上昇したといわれている。これが上昇し続ければ、人類は存亡の危機に陥るといわれ、今はその瀬戸際にある。
 この映画は、この地球的危機に警鐘を鳴らしているものである。私たちはこうした映像からの警告を素直に受け取り、私たち自身の生命の存続の問題として具体的な行動に移してゆかねばならないと考える。

 ここ数年異常気象が続き、オーストラリアの森林火災の発生のリスクが臨界点に達し、オーストラリアの若者もそれに気づき、気象学者や地球物理学者も政府や時の権力者に対し、大災害の警告を発していた。
 その警告の通り、2019年9月から2020年春にかけて、オーストラリアの熱帯雨林をはじめとして全土の密林で大火災が発生し、オーストラリアの自然や農作物、人家などに壊滅的な災害をもたらした。これは地球温暖化の影響が具体的な森林火災として発現したものである。
 そしてこのことはオーストラリアのみならず、アメリカ、アマゾンなど世界の熱帯雨林nが火災のために次々に消滅していっていることを考えると身震いが出るほど恐ろしいことである。
 この映画は、地球温暖化と阻止すべしという気象学者、地球物理学者や若者の運動とそれを陰謀として温暖化などは戯言として、化石燃料を守り、従来の産業構造を変えず、資本家の権益を守りたいとする人々のせめぎ合いを映像の形に見える化したものである。


映画の紹介
背景と見どころ
 この映画では、オーストラリアの森林火災は、地球温暖化ガスの蓄積により、地球の表面温度が上奏したことが主たる原因であるという認識に立っている。
そのうえで、オーストラリア国内における森林火災の主たる要因は下記の通りと見られている。
  1.  空気の乾燥と降水量の減少
  2.  温暖化による気温の上昇
  3.  油分を多く含む樹木の群生
  4. インド洋の『ダイポールモード現象』によりオーストラリア付近の降雨の異常現象

  5.  など悪条件が重なったといわれています。また直接の原因としてたき火やタバコの消し忘れなどによる人為的な原因主張されてもいるが、この記録で取り上げられたような大規模火災は、戦争でもない限り人為的なものでは起こり得ない。したがってこれを今回の問題として主張するのは、問題から目を逸らそうとする勢力の策謀といわれている。

     この映画に登場する若者も、この認識に立って、オーストラリア政府高官や一部富裕層に対し怒りを強くしている。

     このように意識が分断されているが、意識の問題は別として、温室ガスの蓄積と地球温暖化は現実の問題として解決が迫られていることだけは全ての人々が肝に銘じておかねばならないことである。

映画データ
監督    エヴァ・オーナー
ジャンル   サスペンス, ドラマ, ドキュメンタリー
字幕    日本語,العربية, その他…
Čeština, Dansk, Deutsch, Ελληνικά, English [CC], Español (Latinoamérica), Español (España), Suomi, Filipino, Français, עברית, हिन्दी, Magyar, Indonesia, Italiano, 한국어, Bahasa Melayu, Norsk Bokmål, Nederlands, Polski, Português (Brasil), Português (Portugal), Română, Русский, Svenska, தமிழ், తెలుగు, ไทย, Türkçe, 中文(简体), 中文(繁體)
オーディオ言語 English, English [Audio Description]

地球温暖化をめぐる世界の動き
 1980年代後半から、地球温暖化防止のための取り組みの必要性が認識されるようになり、
 1992年に国連のもとで、世界の国々の約束として「気候変動枠組条約」が採択され、1994年に発効した。
 この条約の目的は、『温暖化防止のため、大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させること』です。
 その後の締約国による協議のなかで、先進国の温室効果ガス排出量について法的拘束力のある各国ごとの削減義務を定めた京都議定書が採択されました。
この議定書に基づき、各国の具体的なCO2 s削減量が国際的に取り決められました。
 2015年にフランス・パリにおいて開催された 国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)では、新たな法的枠組みとなる「パリ協定」を含むCOP決定が採択されました。パリ協定は、「京都議定書」の後継となるもので、2020年以降の気候変動問題に関する国際的な枠組みです。
 このパリ協定の発効には55ヵ国以上が批准し、その排出量が世界の温暖化 ガス排出量の55%に達する必要がありましたが、採択の翌年2016年10月5日にこの条件を満たし、同年11月4日に発効されました。その後アメリカがパリ協定から離脱することもあったが、現在ではアメリカのバイデン大統領がトランプの離脱宣言を覆し、パり協定に復帰し、世界が一丸となってこの取り組みが進められることが期待している。








詳しい説明は 【「炎上する大地」】 ☜ こちらをクリックしてください
映像に見る歴史 おすすめ映画50選のホームページに戻ります。  

2022年11月26日土曜日

さらばわが愛 北朝鮮:北朝鮮の生まれが分かる、今の北朝鮮が見えてくる、そしてこれからの北朝鮮も癒えてくる

さらばわが愛 北朝鮮

「さらばわが愛 北朝鮮」を観ました。心揺さぶられるドキュメンタリーです
 歴史映画館が時代の節目となる出来事を画いた映画を発掘し、時代背景と共にお贈りします。今回は「さらばわが愛 北朝鮮」をお贈りします。
  このブログに来ていただきありがとうございます。
  この映画の表題の「さらばわが愛、北朝鮮」の「愛」は祖国愛のことだと思います。祖国の北朝鮮をこよなく愛するからこそ、その祖国である北朝鮮が金日成により簒奪され、踏みにじられた祖国・北朝鮮と決別しなければならなかった悲しみが込められていると思います。しかし、それでも祖国のために何かしたいという気持ちにあふれているように思います。
  このブログに来ていただいた方は、「今の北朝鮮はどうなっているのだろう」「北朝鮮は我々に何かするのではないか。恐ろしい」という疑問や不安をお持ちの方が殆どだろうと思います。
この映画を見れば、「なぜ北朝鮮はこうまでミサイルを撃ち込んでくるのか?」の答えがわかります。
その答えは金日成にあり!
  このブログは北朝鮮と言えども、決して今の金正恩体制がずっと続くわけではないことを言いたいと思います。いくら金正恩体制が強固に思えても、、大衆の生活や要求を無視して続くはずはないことだけは確かなことだと思います。
 ではいつまで続くのかという疑問ですが、それは私たちの声を大きく張り上げ、自分たちの要求を口に出すことだと思います。「生ぬるい」という人もいるでしょう。しかし生ぬるいといって、好戦論者の尻馬に乗ったり、沈黙を守るよりははるかに前向きに思えるのですが・・。絶対に戦争をしてはなりません。  


映画の紹介
 ここで取り上げる話は今北朝鮮を支配している金正恩のおじいさんの金日成の時代が始まりです。
 この物語の主人公はモスクワ映画大学の八人の学生たちです。
 学生といっても、彼らは1954年に起こった朝鮮戦争の中で北朝鮮の兵士としての立派な評価を得て闘った後、戦後北朝鮮からモスクワ映画大学に留学することができたエリートだったのです。
  ところが留学中の1956年北朝鮮で宗派事件という事件が発生します。この事件は金日成が北朝鮮労働党中にあった延安派、ソ連派、南労党派などを粛清し、独裁体制を確立した事件です。
  この事件に対して、8人の留学生たちは金日成を批判する活動を展開します。結果として彼らは国からは見放され、ソ連に亡命することとなりました。

 この物語は北朝鮮という自分の故郷をから見放され苦しい亡命生活を余儀なくされながらも、しっかりと映画人としての自覚を失わず戦い続けた人々の物語です。

 私たちはどんなに苦難の中にあっても、人間として尊厳を見失うことなかった八人の人々に対して強い感銘を覚えるものです。


映画データ
監督 キム・ヨソン
出演 キム・ジョンフン, チェ・グギン, ハン・デヨン
ジャンル   外国映画, ドキュメンタリー
オーディオ言語 한국어
この記事はアマゾン・プライムを参考にしています

 【アマゾンプライム】 ☜ こちらをクリックしてください


ストーリー
 1950年代にモスクワ国立映画大学に留学した北朝鮮の8人の若者たちのその後を追ったドキュメンタリー。1952年、北朝鮮からモスクワ国立映画大学に留学した8人の若者が、エリートとして約束された北朝鮮での将来を捨て、祖国に帰国しない道を選択する。56年に起こったクーデターの宗派事件をきっかけに当時の金日成体制を批判し、58年にソ連に亡命した彼らは、カザフスタンを始めとするユーラシアの各地で映画監督や作家として活動する。連作ドキュメンタリー「女性史三部作」や劇映画「ビューファインダー」のキム・ソヨン監督(C)822Films+Cinema Dal


背景と見どころ
 今北朝鮮では、金日成の孫の金正恩が独裁体制の頂点にあり、東アジアに不穏な空気を醸し出している。
 この少し前の1960年前後は北朝鮮の千里馬(チョンリマ)運動、金日成の貫島パルチザン物語などが喧伝され、金日成の個人崇拝が高められていきました。
 また同じころ日本では、北朝鮮への帰還運動が始まり、大勢の人々が、夢と希望をもって日本を離れ北朝鮮に向かいました。
しかしながらあとで伝え聞くところによるとこれらの夢と希望は儚く打ち捨てられ、北朝鮮に渡った人々は非常に苦しい生活を強いられてと聞きます。
 これらのことを考えると結果論ではありますが、金日成のなしたことといえば北朝鮮を奪い取り、騙し取り自分のものにする独裁体制を築くことではなかったかと言えます。

ここに述べられた八人の人々 、また日本から北朝鮮に渡った数え切れない人々は、金日成の策動の犠牲者であると言えます。
 そしてその苦難の道は、今なお途切れることなく、金正日、金正恩に受け継がれ、東アジアの人々を苦しめていると言えます。
 だからといって、北朝鮮に対して敵対的な行動をとり戦いを仕掛けていいというものではありません。 外交や民間の交流は粘り強く、推し進めるべきものと考えます。





映像に見る歴史 おすすめ映画50選のホームページに戻ります。  

2022年11月10日木曜日

ミュンヘン Munich:ミュンヘン・オリンピックで起きたイスラエル選手へのテロ事件はオリンピックの歴史を変えた

ミュンヘン Munich (字幕版):ミュンヘン・オリンピックで起きたイスラエル・アスリートテロ事件はオリンピックの歴史を変えた

「ミュンヘン Munich」を観ました。すさまじい映画です。
歴史映画館が時代の節目となる出来事を画いた映画を発掘し、時代背景と共にお贈りします。今回は「ミュンヘン Munich 」をお贈りします。

ページの要約
 1972年のミュンヘン・オリンピック開催中に、11名のイスラエル選手の内2名が選手村で殺され、残り9人が人質にされ空港で殺された。
 この事件はオリンピックの精神を根本から揺るがし、ある意味でオリンピックの歴史を一挙に塗り替えた出来事であった。

 これを機に各国では一挙にセキュリティー警備体制づくりが活発化した。日本でもSATなどの高度な警備システム体制の構築が急がれた。
 なお、SATとは「特殊急襲部隊 (とくしゅきゅうしゅうぶたい、 英語: Special Assault Team)」のことを言い、日本の警察 の 警備部 に編成されている 特殊部隊のことである。
さてこの映画はこの凶悪なテロ事件に報復するイスラエルの国家諜報組織の報復活動を追ったドキュメンタリーである。 当時のイスラエル政府はこの事件をユダヤ人に対するテロ事件として報復を決定。イスラエルの諜報機関であるモサドのメンバーにミュンヘンのテロ事件に関わったパレスティナのメンバーの殺害を指令する。 指令を受けたもモサドのメンバー数名は自らの国籍を消し、あらゆる知己との連絡を絶ち、次々と殺害を実行して行く。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★
映画の紹介
  この映画の始まりはミュンヘンオリンピック村にテロリストが侵入することから始まる。
 しかしこの映画の主張は、このテロ事件そのものではなく、イスラエルの諜報組織がテロリストに報復することに主眼が置かれている。  そこには非常に強い民族性と国家観、裏打ちされ観るものに強い衝撃を与える。
 この映画の意義はテロリズムに対してはそれに応じた強い報復が伴うものであるいうことを人々に訴えたことでだろうか。
 私はスピルバーグほどの監督であればもう一歩踏み込んで、これらのテロと報復の連鎖をいかに断ち切るかの糸口を探って欲しかったが、ここでは回答は示されてはいない。


映画データ
監督  スティーヴン・スピルバーグ
出演  エリック・バナ, ダニエル・クレイグ, キアラン・ハインズ
ジャンル  サスペンス, ドラマ, 歴史, アクション
オーディオ言語  日本語

この記事はアマゾン・プライムを参考にしています

     【ミュンヘン
】 ☜ こちらをクリックしてください
ストーリー
  1972年のミュンヘン・オリンピック開催中に、11名のイスラエル選手が人質にされ、その後殺された。この凶行に及んだのはパレスチナのテロリスト・グループ“黒い九月”。テロリストたちはイスラエルの選手たちを人質に取りイスラエルの政府に対し要求をつきつけた。その要求は「ソ連の軍事政権が政治犯として拘束している200人の囚人の解放」であった。 イスラエル政府は報復することを決め、諜報機関モサドのメンバーから精鋭を選び、事件の首謀者の暗殺に当たらせるのだった。


背景と見どころ
 この事件によって、オリンピックが、『平和の祭典』という見かけの安寧がかなぐり捨てられ、結局は現実の政治や民族の問題から逃れることはできなかったことを示している。
 理由はどうであれ、平和的に過ごしている無防備な人々を襲撃し殺してしまうということはやはり許されないことだ。これを許してしまえば、大儀名分さえつければ何をしても許されることがまかり通る。世界は無秩序なカオスに落ち込んでしまうであろう。

 しかしこの問題を実際にどう解決すべきかという糸口は全く見出すことができない。第二次世界大戦後のイスラエルの国家建設そのものに歯車を戻さなければならない。
 次にイスラエルの対応そのものについても言及されなければならない。イスラエルがこのテロリストに対する報復として、テロで報いたということは、「目には目を、歯には歯を」そのものであり、イスラエルの正当性は失われてしまう。
 この映画の見どころの一つはイスラエルの諜報組織が、執拗にテロ関係者を追い詰め殺戮を繰り返して行くことである。
 そこには組織の中に組み込まれた人間が、その人が本来どんなに人間的であったとしても、自らの任務を遂行せざるを得ないことである。
その意味では、組織と人間性は本来相容れないものである。理想は個人の思いと組織の思いが一致することであるが、そのようなことはありえないことなのだろうか。

 この問題の解決の糸口は、パレスティナ、イスラエル双方が、にくしみの行動をとにかく一旦中止し、冷静に話し合うことしかない。その際関係国および大国の援助が必要となるが、この時には関係する国々はパレスチナ、イスラエル双方に加担することなく平等な援助が望まれる。
 人間はどうしてこうも愚かなのだろう。



映像に見る歴史 おすすめ映画50選のホームページに戻ります。  

2022年10月31日月曜日

アラビアのローレンス:第一次世界大戦前夜、ローレンスが中東で果たした歴史的役割は何だったのか

アラビアのローレンス

「アラビアのローレンス」を観ました。第一次世界大戦後の世界を決定づけた人物
 先日、エリザベス女王がなくなりました。最長の在位期間を誇り、世界中から惜しまれたと伝えられています。しかし、彼女の死は間違いなく戦後の時代を画するものとなるでしょう。それはエリザベス女王の生き方や彼女の歴史的役割がそのようなものだったということではなく、大きく変化する中で、イギリス連邦が名実ともに崩壊の時期を迎えることになったということでしょう。イギリス連邦の構成国の中ですら、「イギリス連邦の存在意義は?」という問いかけに、明確に答えを出すことができなくなってきているのではないでしょうか。


イギリスは中東に責任を負わなければならない。
 歴史映画館が時代の節目となる出来事を画いた映画を発掘し、時代背景と共にお贈りします。今回は第一次大戦後の中東世界を決定づけた大英帝国の帝国主義的野望を画いた「アラビアのローレンス」をお贈りします。
 この映画は実在のトーマス・エドワード・ロレンス(Thomas Edward Lawrence、1888年8月16日 - 1935年5月19日)をモデルにしたもので、彼は大英帝国の命を受けて、オスマン帝国に対するアラブ人の反乱(アラブ反乱)を指導した人物で、良きにつけ悪しきにつけ、近代の大英帝国史上これほど大きな仕事を成し遂げた人物はいないと考える。
 現在のアラブを含む中東情勢はローレンスによって決定付けられたといってもいい。それ故、今アラブに起こっているすべてのことに、 イギリスは責任を負わなければならない義務を負っていると考える。



映画の紹介
 この映画に出てくるローレンスの細かい所作をについては必ずしも史実とは言えないかもしれない。 しかしこの映画全体を通して、描かれている内容は、ほぼ忠実に史実に沿ったものと考える。 その意味でこの映画の歴史的役割はかなり高いものと受け止めている。
 この映画の背景については、後ろの項目で語られるが、 オスマントルコは衰退するにつれて、それまで圧迫されていたアラブ民族が台頭し新しい勢力が築かれていく。   しかしそうした中にあって、大英帝国即ち現在のイギリスが自らの帝国主義的野望を貫徹するべくこの地に置いて画策をし、 中東の世界に混乱と不信を撒き散らしたことについては、100年経った今でも責任を負わなければならないだろう。



映画データ
監督  デーヴィッド・リーン
出演  ピーター・オトゥール, アレック・ギネス, アンソニー・クイン
ジャンル  ドラマ, 歴史, 冒険, アクション, 軍隊・戦争
オーディオ言語 English


この記事はアマゾン・プライムを参考にしています

     【アラビアのローレンス】 ☜こちらをクリックしてください

ストーリー

 1914年、第一次世界大戦が勃発し、アラビアはドイツと結んだトルコ帝国の圧政下にあった。英国は、ドイツ連合軍の勢力を分散させるため、稀代の天才戦略家ロレンスをアラビアに派遣する。
 アラビ王族のファイサル王子の軍事顧問となったロレンスは、ハリト族のリーダー、アリや黄金を探し求めるアウダらとともに、独自のゲリラ戦法を駆使して反乱軍を指揮し、アラブ国民から砂漠の英雄とうたわれるようになる。
 だが次第に自分が軍上層部に利用されていることを知り、アラブ民族もまた、部族間の対立からロレンスを裏切っていく・・・。


背景と見どころ

  オスマントルコは13世紀に建国され、20世紀初頭までその巨大な権力をふるってきた。17世紀末から衰退に向かい、この映画の時代は、まさしく死に体の状態だあった。

 オスマントルコは基本的には農業国であったが、その立地条件を生かし、長い間自給自足の体制をとってきた。周辺諸国で、産業革命がおこり、工業化の波が押し寄せたにも拘らず、その工業化の波に乗り遅れた結果、19世紀には立ち行かなくなっていた。

 にも拘らず、過去の栄光にこだわり続け、当時事実上支配していたアラブ諸国にも独立の機運が高まっていた。大英帝国はその中東にくさびを打ち込むべく、ローレンスを派遣し、ものの見事にアラブの反乱を成功させた。
 この映画の最期の部分では、主導権を勝ち取ったアラブの部族が抗争し紛糾する場面が出てくるが、それこそ、オスマン亡き後の中東の混乱を見事に表現しているといえよう。






映像に見る歴史 おすすめ映画50選のホームページに戻ります。  

2022年10月30日日曜日

近代中国の扉をこじ開けた男 「孫文-100年先を見た男」

孫文-100年先を見た男

孫文こそが1911年、東洋で初めての民主主義革命である辛亥革命を成功させた立役者である。この革命は、秦朝以来2000年以上も続いた専制政治を打倒したという点で、世界でも最も特筆すべき大事件である。

映画の紹介
今から100年余年前!世界中に激震が走った。誰もがあの清朝が瀕死の状態にあることは認識していたにも拘らず、現実に倒れてしまうことは予想できなかったのではないだろうか。

映画データ
  • 出演: ウィンストン・チャオ(趙 文瑄),アンジェリカ・リー, ウー・ユエ, チャオ・チョン, ワン・ジェンチョン 
  • 監督: デレク・チウ(趙崇基)
ストーリー

1910年、中国近代国家への夜明けにつながる“革命前夜”。 亡命の地マレーシア・ペナン島を舞台に、度々の革命失敗の苦境と失意、そして暗殺の危険に遭いながらも、愛する人に支えられ、理想を失わなかった世界的革命家・孫文の闘いと愛の日々を描く一大歴史ロマン。

歴史的背景と見どころ
 辛亥革命から何を学ぶか?辛亥革命も当時の人々にとっては何故起こったのかわからなかったのかも知れない。昨年起こったイギリスのEU離脱の意思表示と同じ様に、「この世の中何が起こるかわからない」と見ていたのかもしれない。しかし、イギリス内部に蔓延していた、閉塞感を正しく見ていさえすれば、正しく予見する人間がいたのかもしれない。
 辛亥革命を現実に可能ならしめたのは、満州族の支配に対する閉塞感とも云われる。アヘン戦争で敗れるわ、大平天国の乱ではぐちゃぐちゃになるわ、外国列強や日本から好き勝手にされるわ、全てに亘って中国の民衆は劣悪な状態に置かれた。やがてそれは爆発し、民族主義的な熱情を噴出しながら突き進んだ。
 今全世界で起きているカオスのような出来事も、結局それを可能ならしめるものは、人々の貧富の差や失業生活不安、自分達の意志でどうにもならないという閉塞感が人々を突き動かしているとも云えまいか。とすれば、100年前に起こったと同じことが我々の目の前で起こっても不思議ではない。そして辛亥革命の激震が、ロシアに飛び火し、レーニンの率いる10月革命へと波及していったように。
 これからいかなる激震が我々を襲うだろうか? 我々はもっと賢くならなければならない。これが歴史から学ぶということだろう。
 それにしても主人公、趙 文瑄(ウィンストン・チャオ)のかっこよさ。冷徹なまでに研ぎ澄まされた革命家を好演している。すばらしい。


この記事はアマゾン・プライムを参考にしています

     【孫文-100年先を見た男】 ☜ こちらをクリックしてください
イメージ:巨大なイーグルが神戸にある八角の楼閣(移情閣)に現る
世界の歴史の扉を切り開く
孫文は神戸にある八角の楼閣(移情閣)に一時滞在し、やがて革命の渦中に戻っていく
孫文の起こした民主主義革命の波はロシアへと広がり、ロシア革命で噴出する


映像に見る歴史 おすすめ映画50選のホームページに戻ります。  

ニコライとアレクサンドラ・・ロシア帝国がいかに崩壊したか:プーチンはこの歴史を拭い去れるのか

映画:「ニコライとアレクサンドラ」
繰り返されるロシアの悲劇100年前の皇帝に代って独裁者プーチンの降臨

今から約百年前まで、ロシアは皇帝ニコライが専制政治を敷いていました。そして今、プーチンによる専制政治(独裁)がひかれています。民族解放を標榜し、帝政を倒し国民が主人公てとなる民主主義のために闘ったロシア民族は今どこに行ったのでしょう。

原題:「The Royal Family」をご紹介します。
今進行しているロシアのウクライナ侵攻を判断する材料として、この映画を取り上げてみたいと思います。
 2022年の現在ロシアのウクライナ侵攻が、 世界中の大きな非難を巻き起こしています。 しかしながらロシアのプーチンはこの非難に怯むことなくウクライナ屈服させようと大量殺戮の手段まで訴えています。

 この映画は、ちょうど100年前に、ロシアはロシア革命が勃発し、その時までにロシアを支配していた倒れ行く、ロマノフ王朝を舞台にしています。

 この映画の主人公はロシアの最後の皇帝ニコライとその妻のアレクサンドラです。実はこの映画の主人公はもう一人いるのです。それはラスプーチンという怪僧です。この人も実在した人物ですが、すでに末期的症状を見せていた、王朝の中に巣食い、皇后アレクサンドラの寵愛を受け、ロシア革命の前夜にロシアの帝政の政治を大きく混乱させた人物です。

 最近ロシア正教のトップのキリル総主教がニュースの取り上げられています。キリル総主教は、プーチンの精神的盟友ともいわれており、ロシアのウクライナ侵攻を支持しています。
 ロシア帝政当時の宗教的な環境と、現代の政治的環境の違いがどうなっているのかは知りませんが、現在でも100年前と同じように宗教の政治的影響は無視できないところにあると考えるべきでしょう。

 いずれにせよ、国家としての正常なる判断が失われ、ウクライナに一方的に侵略することになったと考えられますが、プーチンを突き動かしたものはなんだったろう。それはプーチンに聞いてみないとわからないと大概の人は言うでしょう。
 プーチンを取り巻く環境、ロシアの歴史及びロシアの経済的政治的地理的に置かれた環境などプーチンがどのように育てられたか知ることが、プーチンの個人の考えを云々するよりもっと大事なことと考えています。

  個人が歴史の中で果たす役割は、歴史の一瞬一瞬では大きなものであるかもしれません。しかし歴史を大きな流れの中で捉えた場合に、個人の果たす役割はある種の偶然性に過ぎないわけで、偶然性の中に必然性が貫徹されているはずです。私たちがある事柄を見るときに、忘れてはならないのは「科学的に見る」という態度に徹することだと思います。


映画の紹介
 この映画は、1972年アメリカで封切られたもののようです。アメリカの映画であるからには、当時のアメリカで支配的であった考え方からは払拭できていないと考えるべきでしょう。(もちろんそれを凌駕した真にに素晴らしい映画もあったでしょうが・・) それを頭に置いた上で評価しなければなりません。

映画データ
製作: Columbia Pictures
原題: Royal Family
邦題: ニコライとアレクサンドラ
監督: Franklin Schaffner
出演: Michael Jayston, Janet Suzman, Roderic Noble


ストーリー
 1904年。ロシア皇帝ニコライと皇后アレクサンドラとの間に、皇太子アレクセイが誕生した。しかし、アレクセイが血友病にかかっていることが分かり、怪僧ラスプーチンの不思議な力で危機が一時的に回避された。それを機にアレクサンドラは彼を寵愛するようになるが、ラスプーチンは次第に皇帝までをも操り出す。これが王室の悲劇の始まりとなり、ロシア帝国の未来に暗雲が立ち込める…。

 皇帝とはいえ、個人の判断を国家としての判断の上に置いた悲劇であるともいえよう。



背景と見どころ
 この映画は、皇帝ニコライが、ラスプーチンに篭絡された皇后に拘泥することにより、現実を見ることではなく、かつての力のあった王朝の栄光の復活の実を夢見て、次第に孤立し、問題を先送りし、ずるずると成り行きに引きずられていく過程をしっかりと見ることが肝要です。そのうえで、今日のロシアに視点を移してみると、この大ロシア帝政の時代のロシアの再来を夢見た権力者がかつてのソ連の時代の力による栄光の復活を夢見て、やはり現実を見ることなく、孤立していく様がダブって見えることである。


詳しい説明は 【ニコライとアレクサンドラ】 ☜ こちらをクリックしてください
映像に見る歴史 おすすめ映画50選のホームページに戻ります。  

2022年10月15日土曜日

ハンティングISIS:ISと戦うことを願う志願兵は傭兵なのか

ハンティング ISIS
ジハードに駆り立てられたIS戦士とISに対し義憤に燃えISを猟犬の如く駆り立てる志願兵

 いずれの若者の命も戦争を弄ぶ戦争屋の餌食となる愚を繰り返す 「Hunting ISIS」を観ました。生々しい戦闘映像です。志願兵は猟犬ではないはず。


歴史映画館が時代の節目となる出来事を画いた映画を発掘し、時代背景と共にお贈りします。今回は「Hunting ISIS」をお贈りします。

この映像は2015年に隆盛を誇ったISISとの戦いに挑んだ志願兵の映像だ。
 このハンティングISと言う映画の題名自体が私は極めて不遜なように思える。 このハンティングISという概念自体は正義なのであろうか。いつの世でもそうだが、この「正義とか義憤」という言葉はそうやすやすと使うものではない。しかもこのような抽象的な言葉は、尚更わかりにくい。
    ISと戦うことを願う志願兵が現実にはクルド人組織に入り、結果的にはトルコと戦っている現実等があり、結局「自分は何のために誰と戦っているのか分からなくなっている事さえ考えられる。これが日常の生活ならまだしも、何のためにか分からずに、人を殺すことは許されるのか。
 また志願兵の中にも、家でぶらぶらしていて、体が鈍ってしようがないから銃を持って戦いたいと言う不純な動機を語る人もいる実態もあり、必ずしも志願兵が素晴らしい行動であるとも言えないなど、複雑な要素を孕んでいる側面がみえてくる。 


映像の紹介
映像紹介記事
各地でテロ攻撃を仕掛け世界を恐怖に陥れたイスラム国、通称ISIS。この過激派組織の制圧に向かった民間兵士たちに密着取材を敢行。2015年からの激動の1年、戦地では何が起こっていたのか?そして兵士たちは何を求めて危険な地に足を踏み入れたのか?21世紀の「戦争」の実態が明らかになる。

映画データ
出演 ピーター・ジェソップ
ジャンル ドキュメンタリー, ホビー・実用
オーディオ言語 English

この記事はアマゾン・プライムを参考にしています

     【ハンティング ISIS シーズン1 エピソード4】 ☜ こちらをクリックしてください


ストーリー
   欧米の青年たちが、自分たちが育ったふるさとを離れ、まるで何かに取り憑かれたかのように IS が猛威を振るう 激戦地で戦う様を描いたドキュメントである。

 彼らはISが人々を殺し殺戮する様を見てはおられないと言う義憤に駆られ、自分が戦うことしか平和を取り戻すことはできないという思いで戦いに参加をしている。
 彼らの目は純粋で濁りがない。
 しかしその純粋さを利用して(言い過ぎかもしれないが)国家は自らの意思を貫徹し、彼らを戦闘の地獄の坩堝へ 落とし込む。

  人々が 平和を守るという言葉の呪縛から解放され、真に平和を守るための戦いに入るためには、やはり一人一人が人々を殺すのではなく人々を守ると言う想いと行動に徹することである。「言うはやすし行うは難し」ではあるが、他に道はない。



背景と見どころ

前書き
 映像を見て、感じることは、ここに出てくる青年、兵士たちの眼が大変美しく澄んでいることである。 彼らは故郷から遠く離れたこの地でIS国による殺戮が行われその規模も拡大しているということを聞くに及んで、いてもたってもいられず自分が何とかしなければという思いに駆り立てられこの地に立っている。
一方彼らの故郷での生活の紹介もあったが、何も一見何の不自由もない裕福な家庭の青年たちのように思える。そういう意味では彼らは絶対に傭兵ではない。彼らは金のために、戦っているのではないことははっきりしている。それが彼らにとってある意味では 自負となっているであろう。彼らの美しい瞳と裏腹に彼らが現実否定的な考えに駆られているようにも思われ、称賛できる気にはなれない。

 一見したところでは、我々は彼らの行動に対して、 何も言う資格がないように思える。
 しかし、結局彼らは自己満足の行動に過ぎないのではないか。

平和を守るという大義名分をとってはいるが、自らの生活は食うに困らない、「生活の」ために戦うことを知らない若者の先走った行動のようにしか思えない。
 彼らの考え方の基底には、政府への不信感が横たわっているように思う。政府は「ISに対してしっかり対応すべきである」という単純な想いで戦闘に加わる。「ISは悪だ。放逐しなければならない。」ということで、戦闘に加わるのは、自ら悪に染まることと同じではないだろうか。
 やはり我々が求めなければならない行動はアフガニスタンの中村哲さんに続くということではなかろうか。彼自身が言うように「安易に自分に従ってはならない」。その通りであると思う。中村哲さんに続けと言う前に我々の前にはやるべきことが山積している。
 我々は自らを守る行動はしなければならないが、他人を攻撃することはやはりあってはならない。
 私たちに必要なのは彼らは彼らの戦い方があったとしても、私たちには自分たちの生活で戦い抜く。そして日常に埋没することなく 、常に平和と民主主義を攻撃する者に対し戦いを続けることだ思う。きれい事に聞こえるかも知れないが、きれい事で終わるのかどうかは、結局人々の生活を脅かすものと闘うのか闘わないのかに帰結する。


背景1
クルド人民防衛隊(クルド語: Yekîneyên Parastina Gel、略称:YPG)は、クルド民主統一党(PYD)の武装部門である。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

「シリアの反体制派組織の一つ」として括られることが多いが、イスラム過激派系の反体制派とは明確な敵対関係にある一方で、場合によってはアサド政権と協調し、その目的もアサド政権の打倒よりは自治権の拡大或いは独立と思われるため、「反体制派」というよりは「第三勢力」や「独立派」と呼称した方が正確である。 シリア北部のクルド人地域ロジャヴァを本拠とする。
YPGはシリア内戦 において、当初守勢を取り、ロジャヴァ地域を支配しようとする非クルド人集団に対してのみ闘っていた。後にYPGは、主にアラブ人が住むISISが支配する領域に進出し始めた(例えば2015年6月の国境の町Tell Abyadがそうである)。 状況や地域によってアサド政権と非イスラム過激派系の反体制派の双方と協調してきたYPGだが、2018年1月のトルコ軍のアフリーン侵攻に際し、反体制各派がトルコ軍と協調するか黙認する一方、YPGに支援要請を受けたアサド政権がこれに応じ援軍を派遣した事に加え、YPGの支援者であった欧米がトルコの侵攻を事実上黙認した事や、2018年12月にアメリカがシリアからの米軍撤退を発表した事が重なり、アサド政権との協調を強めた。 後に米軍の早期撤退が撤回されたことや、アサド政権との戦後交渉の不調、新型コロナウイルスの流行による勢力地域の固定化もあり、2020年現在は米軍の駐留を背景に勢力圏の維持を図りつつ、アサド政権との一定の協調関係も継続している。

背景2
2018年1月 トルコ軍のアフリーン侵攻 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 05:40 UTC 版)

1月5日夜~6日、シリアに駐屯するロシアのヘメイミーム空軍基地に対してドローン10機、タルトス海軍基地に対して3機による攻撃があり、ロシア軍が撃墜または捕獲したとロシア国防省が発表。 1月20日、トルコ大統領エルドアンが、クルド人勢力の民主連合党(PYD)が支配するシリア北部への攻撃(オリーブの枝作戦)開始を発表。 1月30日、ロシアが主導して同国南部ソチで開かれた「シリア国民対話会議」が憲法委員会の設置に合意。会議はアサド政権と反体制派のうち政権に融和的な一部のみが参加し、ジュネーブ和平協議に参加する反体制派代表団「高等交渉委員会」(HNC)は出席を拒否。 ※この「2018年1月 トルコ軍のアフリーン侵攻」の解説は、「シリア内戦」の解説の一部です。» 「シリア内戦」の概要を見る

映像に見る歴史 おすすめ映画50選のホームページに戻ります。  

2022年10月5日水曜日

博士の異常な愛情:核戦争が現実になる恐怖  歴史は過去のものだけではなく未来のものだ

「博士の異常な愛情」に見る狂気が現実となる恐ろしさ!

この映画の現在的な意味
 核戦争の脅威は、ウクライナでも北朝鮮、台湾海峡においてもいよいよ現実のものとして迫りくる

 いまロシアのプーチン大統領の妄想と暴走により引き起こされたウクライナ侵略はウクライナとロシアだけの問題ではなく、全世界を巻き込んだ世界戦争に発展する恐れを秘めている。

 ロシアの長年のアメリカに対する恨み、アメリカがベトナム、アルジェンチン、リビア、イラン、イラクで何をしてきたかが背景にあると思われるが、それにしても今度のロシアのウクライナ侵略はあまりに狂気じみている。この狂気と暴走がが何を招くかこの映画は予測していたともいえる。

  偶発的なことも重なり、核戦争までいってしまう恐ろしさを描いたイギリス映画をあえて紹介します。誰もが見るべきイギリス映画「博士の異常な愛情」をお贈りします。

 


映画の紹介
北朝鮮とアメリカの間に繰り広げられている核戦争になるかも知れない危機的状況。設定は異なるかもしれないが、核による支配を企む気違いじみた博士とその周りの人々が世界を核戦争に追い込んでいく。それを回避しようとする努力が一応為されるが、連絡も絶った一機の爆撃機が、あらゆる防御網をかいくぐって、一発の核爆弾を投下してしまう。

映画データ
出演:ピーター・セラーズ(マンドレイク/マフリー大統領/Dr.ストレンジラブ)
ジョージ・C・スコット(バック・タージドソン将軍)、スターリング・ヘイドン(ジャック・リッパー准将)、キーナン・ウィン(バット・グアノ大佐)、スリム・ピケンズ(キング・コング少佐)

監督:スタンリー・キューブリック


ストーリー
 アメリカのバープルソン空軍基地。その司令官ジャック・D・リッパー准将は部下のマンドレイク大佐に基地を警戒態勢に置くよう指示。その上で空を巡回中のB-52戦略爆撃機34機に「ソ連領域内に侵攻し、搭載した核ミサイルを発射しろ」という命令を下します。全面核戦争への秒読みが始まったのです。
 ペンタゴンの指令など出されていないことが明らかになり、リッパーの独断専行を止めようとします。
 一方、ペンタゴンでは緊急事態に対処するため、ソ連大使を呼びだして戦略室に入れ、その目の前で大統領はソ連の首相と電話で会談しますが、事情を知った首相は激怒。報復手段を取ると宣言。
 アメリカ政府は状況を打開するため、リッパーから通信用の暗号を聞き出そうとリッパーの部屋を攻撃。基地の兵士らとの交戦があった後、リッパー准将は自殺。
 やがて暗号は解読され、ほとんどの爆撃機は引き返すが、1機だけは機器の故障でそのまま目的地に向かって侵攻する。爆撃機は核爆弾を投下。核は爆発。報復装置が起動されるため、まもなく人類は死に絶えるはず。
 しかし、大統領の科学顧問であるストレンジラヴ博士は、地下深い空間で僅かな優秀な人間だけでも生き残れば、まだ希望はあると熱心に説く。殆どの人間が死に絶えても・・。




背景と見どころ
 この映画は1964年にイギリスで作られている。  この映画は、司令官ジャック・D・リッパー准将と大統領の科学顧問であるストレンジラヴ博士の二人の人物を中心に話は展開する。
 司令官ジャック・D・リッパー准将は部下のマンドレイク大佐に基地を警戒態勢に置くよう指示することから始まる。

 ロシアのウクライナへの侵攻 はロシアのプーチン大統領単独の判断と言われているが、 この映画のジャックリッパー准将とストレンジラブ博士のふたりが、ロシアのプーチンの中で合体かされ、具現化されていると考えれば 、ロシアのウクライナ侵攻の舞台と背景を読み解きやすいのではなかろうか。

 もちろん映画はあくまでもフィクションであり現実に起こっているロシアのウクライナ侵攻はリアルな世界である。全く違う世界にもかかわらず、映画と現実の世界の中に共通性を見ないわけにはいかない。
  一つはロシアのプーチン大統領が、ストレンジラブ博士と同様に 狂気と妄想に支配されているのではないかということである。
 さらにもう一つはロシアのプーチンがロシアという国の最高権力者であり、すべて一人で動かせる位置にあることは映画の中のジャックリッパー准将と 同様であると考える。

  今回の事件が国家という大きな舞台の中で起こった問題ではあるが、 結局は独裁と言う仕組みの中でロシアのプーチン個人の妄想と狂気 に帰着する問題であるからだ。
  どんなに整備され民主的な国家であるにせよ最終的には ほんの一人あるいは一握りの人間の行動をいかに規制しし管理するかという問題になってしまう。

 その仕組みや権力が大きければ大きいほど、その権力を縛り民主的に管理できるかには大きなジレンマが伴う。



アマゾンのサイトに移ります【博士の異常な愛情】 ☜ こちらをクリックしてください

映像に見る歴史 おすすめ映画50選のホームページに戻ります。  

2022年10月3日月曜日

中国二千年の皇帝政治の幕は切って落とされた・・「項羽と劉邦 鴻門の会」間違いなく天下分け目の闘い

「項羽と劉邦 鴻門の会」 項羽と劉邦

中国映画のDVD「項羽と劉邦 鴻門の会」を観ました。すばらしい映画です。
 「中国映画おすすめ100選への道」がこれはいいという中国の映画を探して、その時代の歴史的背景に注目して、映画の案内をお送りしています。
中国映画「項羽と劉邦 鴻門(こうもん)の会」:京劇でも有名な「覇王別記」のもう一つの舞台


映画の紹介
 中国の歴史の一大転換期と言われる春秋戦国時代にその名を轟かせた武将・項羽、劉邦、韓信らが、激闘を経てやがて覇王となっていく半生と生き様を描く。
 映画としては、「生き様」というより、両雄の「死に様」を対比させた映画である。私にとっては、項羽と虞妃の関係、劉邦と呂皇后との関係の対比が面白い。



映画データ
出演: ダニエル・ウー, リウ・イエ, チャン・チェン, チン・ラン
監督: ルー・チューアン
言語: 中国語 字幕: 日本語
販売元: パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
発売日 2014/11/12
時間: 116 分


  ストーリー
 ストーリーの主眼は、中国ではじめて統一国家を成し遂げた秦朝が倒れた後の後処理におかれる。

 項羽は劉邦が自分より先に(秦の本拠地の関中 (陝西省) に入った者が王となる約束していた)関中に入ったとして劉邦を抹殺しようとした。その衝突を心配した劉邦の将軍の張良や項羽の叔父の項伯らが和睦をはかり,咸陽の入口の鴻門で両者を会合させた (BC 206) 。

  この会合で劉邦は項羽に忠誠を誓った。項羽は劉邦を殺そうとするも、何とか逃れる。劉邦は陣を立て直し項羽を攻め、項羽は虞妃とともに自害し果てる。(この場面は京劇での演目「覇王別記」のクライマックスとして描かれている。
 天下を統一した劉邦は政敵の抹殺を図り、韓信もその計略に落ち、殺される。 



  背景と見どころ
 華々しい覇権の争いの場面とは異なり、この映画では、項羽の自害の場面、劉邦の死の床での死に様を描いた、実に暗い場面が続く。しかし、この二人は同じような戦いを経てのし上がったといえ、二人の死に様は大きく異なる。

 項羽が敵に囲まれ打ち果てたといえ、愛妃をそばに最後まで置き、死を嘆じて其れなりに毅然として死んだのに比べ、劉邦は天下を取ったといえ、老醜をさらして死んだ様は、あまり美しいものではない。
 覇王として残忍で暴虐ではあったが、虞妃を最後まで愛しつくした男気のある項羽は京劇「覇王別記」の主役として後世語り継がれた。

 無頼の徒から身を起こし、不倶戴天の敵項羽を打ち破り、中国に漢王朝という強大な国家を作り上げた、人の心をつかむのに長けた武将・劉邦の対比は興味深い。

 この映画は、劉邦は既に死の床にあるものの、韓信抹殺に主導的役割を果たす呂皇后の陰湿な計略を描き出す。劉邦亡き後、呂皇后は、劉邦の側室を酷い方法で殺すことになるが、そのあまりに惨い殺し方に、息子は厭世的になり、その後政治に遠ざかる様になったいわれています。

 さらに彼女自身は後代の唐代の武則天、清代の西太后とともに、三大悪女として汚名を天下に知られることになりました。呂皇后の殺戮の発端はこの韓信の抹殺に始まるといえましょう。

漢王朝の歴史的役割
 漢王朝とは劉邦が天下を統一して以降200年ほどで、倒れ、「新」という国が立つが、それまでの間を前漢(紀元前206年 - 8年)という。

 新が倒れ劉氏の一族が漢を再建し、三国時代の魏に禅譲するまでの間200年ほどを後漢(25年 - 220年)という。

 この二つの王朝(両漢)を総称して「漢王朝」と呼ばれる。また、この名前は中国全土や中国の主要民族を指す名称ともなった。

 漢王朝の歴史的役割とは、この400年で、中国の国家としての基盤が確立したといっていい。この意義は非常に大きいといわねばならないだろう。


アマゾンのサイトに移動します【劉邦と項羽】 ☜ こちらをクリックしてください

映像に見る歴史 おすすめ映画50選のホームページに戻ります。  

2022年7月30日土曜日

『カルト集団と過激な信仰』:全てのアメリカ国民に保証される民主主義と心の中の信教の自由が鋭く対立している

カルト集団と過激な信仰 アメリカの統一教会(サンクチュアリ教会)は、「鉄の杖」(自動小銃)で守ることを教是とする武闘派組織である

「カルト集団と過激な信仰」を観ました。世界各地に限りなく存在するカルト集団や新興宗教の数々。
サンクチュアアル教会
 日本でも安倍元首相の暗殺事件で図らずも明るみに出た新興宗教。なぜ世に蔓延るのかそのヒントにもなる映像です。この事件に関係し、NHK党党首の立花孝志氏は2022/07/21ツイッターを新規投稿し、「私が統一教会についてあまり言及していない理由は、怖いからです」と述べている。これは公党の責任者がいう言葉ではない。国会議員を輩出する政党の発言としてはあまりに無責任だと思う。国会議員たるものその生命を賭して、国民の生命と財産を守るべきものであるにもかかわらずである・・・。
 だが彼が恐れるのは恐れる理由があるのかも知れない。このように怖れを抱く状況自体をなくすことが社会にそしてとりわけ国会議員に要求される責務であろう。

 歴史映画館が時代の節目となる出来事を画いた映画を発掘し、時代背景と共にお贈りします。今回は「カルト集団と過激な信仰」をお贈りします。それが何であれ、我々には、しっかりとその実態と正体を見極める義務がある。


カルト集団と過激な信仰

このドキュメンタリーの映像は、以下の七部構成になっている。
  1. ネクセウム 
     表向きは自己啓発セミナーを開催するマーケティング会社だが、裏では女性会員に性行為を強要していたことが発覚し、カルト集団とも呼ばれるようになった。

  2. エホバの証人
     キリスト教系の宗教。ものみの塔聖書冊子協会などの法人が各国にあり、ほぼ全世界で活動している。聖書の神エホバ(ヤハウェ)を信仰している。
    1870年代に米国人・チャールズ・テイズ・ラッセルによって設立され、徹底的な聖書原文研究を行っている国際組織として知られている。聖書予言の研究も行っている。当初は「国際聖書研究者協会」という組織名だったが、後に聖書の神の名を人々に知らせるために「エホバの証人」に改称する。一般的に聖書教育活動で知られ、無料の個別聖書レッスン、オンラインレッスンを熱心に行なっている

  3. 神の子供たち
  4. UNOI  (英語名:Nation of Islam
     Royal Jemkinsにより創設される、アメリカの極貧層家庭から児童を使ったカルト集団。犠牲になった多くは黒人児童だった。多くの子供たちを親から切り離し、劣悪な状況に住まわせ、無条件で、報酬もなく働かせ、搾取と収奪、児童虐待を繰り返す集団。

  5. 世界平和統一聖殿
    これは今日本で最もホットな話題の一つである。 世界平和統一聖殿は世界統一教会の教祖の文鮮明氏の死後大きくは二つに分かれたが、その後継宗派として、文鮮明の七男の文亨進氏が後継者として指名され、サンクチュアリ教会を設立し過激な活動を展開している。この宗派は日本と同じようにアメリカにおいて集団結婚式を開催し、信者全員が銃で自ら防衛するという言わば一種の武闘派組織の体を成している。

  6. Twelve Tribes communities(十二使徒)
  7. FLDS 
    モルモン教の分派として、アメリカ西部の片田舎に信者だけの地域社会を構成するFLDS。一夫多妻を正とし、指導者を預言者だと信奉する教団だが、その指導者は児童婚により投獄された。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★

映画データ
この記事はアマゾン・プライムを参考にしています

     【カルト集団と過激な信仰 第5話】 ☜ こちらをクリックしてください


ストーリー (この映像の要約は下記のとおりです。)
  カルト集団と過激な信仰 第5話 物語はTeddy Hoseという元信者とやはり統一教会の元幹部であるサミュエル・パークという文鮮明の次男の語りから始まります。両者とも統一教会の中枢に近いこのにいた人でその辺りには真実性があります 。 彼らは統一教会の現状と実態をあからさまにしていきますそして彼らの恐るべき未来を明らかにして行きます。

 妻の韓鶴子氏が組織全体の責任者となったが、「家庭連合幹部と母親韓鶴子女史が、後継権を奪い、韓鶴子女史が自ら教主となり、相続権を奪われた」と主張する七男の文亨進派と分裂した。

 この第3話の中で統一教会は三つの組織に分かれており、その一つは、
  • 文鮮明の妻であるパクチャーハン氏が、統一協会の中核組織を率いている
  • 文鮮明の次男の プレストンムーンが巨額の資本資産を取り仕切っている
  • そして文鮮明の7男である、ショームーンが統一教会の宗教的部分のサンクチュアリー教会を設立している。サンクチュアリー教会は「鉄の杖」(自動小銃)をその教義とし自動小銃で武装した平和軍を擁している。 
 なおアメリカ政府はこのサンクチュアリ教会を教会としては認めず2018年にはヘイト団体としている。

背景と見どころ
 アメリカでは多くの宗教団体が活動している。中には社会的に問題となり、犯罪やヘイト団体として糾弾されている宗教団体もある。アメリカのエミー賞受賞記者のエリザベス・バーガスが、信者ら関係者への直接のインタビューを敢行。宗教団体として、社会的に明らかになっていない部分に切り込んだインタビューは圧巻だ。我々も日ごろなかなかわかりにくい部分を目の前に広げてくれた企画として、大いに評価したい。

  冒頭にも話したように今日本では自民党を中心とする国会議員と統一教会とも関係が大きく問題となっている。 何らかの関係を持った議員は与論の高まりを恐れ、関係をなかったものにしようとしたり関係を希薄なものにしようとしたり躍起になっている。 マスコミも統一教会の霊感商法に焦点を当てている向きも多いが、 この問題の最大のポイントは統一教会が『政教一致』の基本的見解を持ち、国会議員に働きかけを行っていることである。

  すでに承知の通り日本国憲法では政教分離が基本的な原則として定められている。 個人の考えは自由であり 、憲法をどのように解釈し、改憲を信条とすることは自由ではあるが、そのことと 『政教一致』唱える宗教団体が国会内を自由に闊歩し国会議員に対しての働きかけを放任するということは大きな問題である。統一協会の問題をこのようには矮小化することは決してあってはならない。





映像に見る歴史 おすすめ映画50選のホームページに戻ります。  

2022年7月3日日曜日

NHK映像の世紀「キューバ危機 世界が最も核戦争に近づいた日」:地球は60年前に宇宙から消えて亡くなっていたかも知れない

映像タイトル「キューバ危機 世界が最も核戦争に近づいた日」

NHK映像の世紀「キューバ危機 世界が最も核戦争に近づいた日」を観ました。

これは現実に起こったことです。
 私たちはこの危機が進行している間、モスクワで開催された、62年第4回世界選手権で『東洋の魔女』と呼ばれた日本の女子バレー選手たちが、ソ連を破り優勝を飾ったことに、歓喜していました。地球が吹っ飛ぶかもしれない危機にあることも知らずに・・・。 

 ロシアのウクライナ侵攻以来、日本で急速に高まっている議論に先制攻撃論というものがある。 これはロシアのプーチンがウクライナに対する核の攻撃をちらつかせることを受けて、日本においても、防衛力の強化とともに打ち出されている議論である。

 このような状況の中でこの NHKプラスの映像(2022年7月5日から、オンデマンドの有料になる)を見て、今盛んに叫ばれている先制攻撃なるものがいかに危険なものであるか、深く知ることができた。
  この映像は1962年にケネディ政権下において勃発したキューバ危機に直面したしたアメリカ政府の苦悩 が実際の映像に記録されている。当時、特にアメリカの軍部の中にはキューバのミサイル基地が完成するまでに徹底的に叩きせ、キューバを捻りつぶせという強硬論が優勢であったが、世界の核戦争まで到達するかも知れないという リスクは軽視されていた。

 しかし戦争を回避し、海上封鎖と言う手段に訴え、結果的にはそれが戦争を回避し、ソ連の譲歩をかろうじて引き出すことができた。 もし、アメリカが安易に戦争に突っ込んでいたなら今の地球はなかっただろう。

   そのことを考えると安易に敵基地攻撃あるいは戦争に訴えるいうこと厳に慎まなければならないと考える。
 そのことを踏まえ、日本の国民全員が現在の世界情勢を冷静に行動し、戦争を徹底的に避けるためにはもう一度立ち止まって考える必要がある。

映画の紹介
 1962年、人類は全面核戦争の危機に直面した。アメリカの偵察機がキューバに建設中のソ連のミサイル基地を発見、完成すれば全米の主要都市が核弾頭の射程に入る。先制攻撃を叫ぶ軍部に立ち向かったのは、若き大統領ケネディ。その決断を支えたのはコードネーム「HERO」と呼ばれたスパイの命をかけた情報だった。ホワイトハウスで密かに録音されていた最高幹部会議の肉声を中心に、世界が最も核戦争に近づいた13日間に迫る。
『映像の世紀 公式紹介文』より







映像データ
6/27(月) 午後10:00-午後10:44 放送
 語り:山田孝之;

この記事はNHKプラスで放映された記事を参考にしています

     【「キューバ危機 世界が最も核戦争に近づいた日」】 ☜ こちらをクリックしてください。
       7月5日からはオンデマンドで鑑賞できます。


キューバ危機の成り行き
序章
 キューバでは戦前から反共独裁のバチスタ政権に対する、革命運動がおこっていた。
 1959年の元日、バチスタはキューバを脱出し、独裁者のラファエル・トルヒーヨ率いるドミニカ共和国へ亡命した。その後政府軍の将軍カンティーヨが「臨時政府」の成立を宣言したが、カストロはこれを認めず革命軍はハバナを制圧し、1月8日、カストロがハバナ入りし、名実ともに革命軍の勝利が確定した。2か月後にはカストロが首相に就任した。
 当初カストロは「アメリカ合衆国に対して変わらず友好関係を保つ」と表明し、早くも4月にワシントンD.C.を訪問しアメリカ政府に対して友好的な態度を見せるとともに、革命政権の承認を求めた。

 カストロはアメリカ大統領との会談を求めたが、当時のアイゼンハワー大統領は徹底的に冷淡な態度をとり会談を拒否し、カストロは打倒すべき政権として憎むようになる。 キューバ危機はこの時点が出発点になったと言わればならない。

 当然の成り行き
 アメリカに無視をされ敵対的な態度を取られたカストロは急速にソビエトに接近するようになったのは当然の成り行きであった。
 しかしこの時点ではカストロはまだアメリカと敵対的な態度をとるつもりはなく友好関係を維持したいと考えていた。

 当時のキューバ国内にはユナイテッドフルーツと言ったアメリカ資本が数多く存在し、キューバの経済を圧迫することにもなった。

 1960年1月にはユナイテッド・フルーツの農地の接収を実施したほか、2月にはソ連のアナスタス・ミコヤン第一副首相のハバナ公式訪問を受け入れ、ソ連との砂糖と石油の事実上のバーター取引や有利な条件での借款の受け入れ、さらにソ連からの重火器類を含む武器調達の取引に調印した。このことはアメリカとの関係を決定的なものとし、必然的にアメリカとの緊張関係は激化を一途をたどった。

この歴史的な場面に登場する主な人物は下記の通り
  •  ケネディ:アメリカ大統領、キューバ危機のあと1年後にダラスで暗殺される


  • フルシチョフ:スターリンの死後、スターリン批判を展開した。キューバ危機の時にはソ連の第一書記で、 最高責任者。修正主義者として、社会主義を逸脱させた張本人と批判される


  • マクナマラ:国防長官 天才といわれ、若くして国防長官の位につき、ケネディを支えた。
    第二次世界大戦中はカーティス・ルメイの部下として、日本攻撃の作戦に功績があったとされる

  •  カーティス・ルメイ:アメリカ合衆国の軍人。最終階級は空軍大将。;第二次世界大戦では3月10日に東京大空襲を指揮し、3時間で、日本は死者行方不明含め10万人以上を殺害し、被災者100万人以上、約6平方マイル内で25万戸の家屋が焼失させた。
    1964年12月7日に入間基地(旧ジョンソン基地)で、勲一等旭日大綬章が授与された
    理由は日本の航空自衛隊育成に協力があったためである。12月4日の第1次佐藤内閣の閣議で決定された
     しかし、日本国民を10万人も一瞬に殺した無差別攻撃の直接の責任者に、勲章を与え賛美するという卑屈な日本政府の態度には激しい怒りを覚える。果たしてこのような非道な政府が地球上に存在したであろうか?佐藤首相はノーベル賞まで受賞している。はらわたが煮えくり返る。

  •  オレグ・ペンコフスキー: コードネーム「ヒーロー」と呼ばれる、ソ連のスパイ。
     アメリカにソ連の最高機密を長年にわたって流し続けたスパイ。

  •  彼がスパイ行為を働くようになった動機は、彼がそれのソ連の現状に深く絶望していたことと、さらに直接的には彼の父親がスターリンのために殺害されたことに激しい怒りを覚えたことが原因であったといわれている。
     アメリカ政府は彼の長年にわたる高度な情報をもとにソ連の 内情を知ることができたと同時に、キューバ危機に際しては正確な対応をとることができたと言われている。

  •  ワシリー・アルビーポフ:ソ連の潜水艦の副艦長、アメリカの浮上勧告の核魚雷の発射に前のめりになる艦長を宥め、核魚雷の発射を思いとどまらせ、核戦争の勃発を防いだ。



キューバ危機の鐘は鳴る
  1. 第1日  1962年10月16日、アメリカのスパイ偵察機 U 2からキューバに核ミサイル基地が建設されつつあることが報告された。ケネディは直ちに xcom の会議を招集し検討を対策を検討した。 アメリカのスパイラルのもたらされた核ミサイルの情報と合致し、 アメリカの安全保障の命から極めて脅威であることは認識された。

  2. 第2日 キューバに面するフロリダのアメリカ軍基地の 防衛能力を飛躍的に増強されることが実施された。

  3. 第3日 XCOMM最高の機密とすると同時に様々なケースが討論された。 空軍の参謀総長であるカールス・ルメイは先制攻撃を仕掛け、建設中のキューバの吉を徹底的に破壊することを強力に主張する。 一方アメリカが強行に先制攻撃を仕掛けた場合、ソ連はドイツで報復攻撃に出ることが予測される。そのような場合にヨーロッパのみならず、全世界的に核戦争になることも予測される。ルメイはそれでも、ソ連の反撃はそれほどのものではないと主張する。シューブ海兵隊総司令官は「自分の邪魔なミサイルは壊すだけのこと」とこともなげに言い放つ。

  4. 第4日
  5. 第5日  ケネディは中間選挙のためにシカゴにいたが仮病を使ってワシントンに帰還する。マクナマラは打開策として海上封鎖を提案する。海上封鎖自体はは戦闘行為ではあるが、苦肉の策としてケネディに支持され、準備に取り掛かるように指示が出される。
     ケネディは妻と子供にワシントンを離れるよう促すが 、ジャクリーヌはケネディとともにワシントンに残ると主張しワシントンを去ることは断念する。

  6. 第6日
  7. 第7日  ケネディは全米の生中継でアメリカが直面する危機について国民の理解を求め覚悟を促す。海上封鎖の実行は二日後とする。 同日オレグ・ペンコフスキーがモスクワで消息を絶ち、アメリカはソビエトからの情報は途絶えた。
  8. 第8日  フルシチョフはワルシャワ条約機構を招集し、臨戦態勢をとった。アメリカ国内はパニックとなり食料品の買いだめがおこり、核シェルターの準備で大騒ぎとなる。なお国防省の試算では核攻撃にさらされるであろう9200万人の内シェルターで守ることは出来るのは半数以下だと試算する。

  9. 第9日  海上封鎖が実施される。 ディフェンス・コンディションはレベル2に設定される

  10. 第10日   国連の安保理が開催される。 アメリカの国連大使はソ連の国連に対しミサイル基地をキューバに設置しているかどうかイエスかノーのいずれかで返答するように問い詰める。 U 2の航空写真も提示され 、ソ連は一挙に追い詰められる。

     国際世論の流れも大きく変化をする。バレーボールの国際大会がモスクワで行われ、日本チームが優勝した。東洋の魔女と称えられる。
  11. 第11日  ABC 特派員のスカリがソ連の大使館から 「ソ連が何等かの緒を模索しているのではないかと」情報をもたらす。 ケネディはこの情報の信憑性を確認させるとともに アメリカとしてどう出るべきか模索をする。

  12. 第12日  暗黒の土曜日 フルシチョフからトルコに配備されているミサイルの撤去が必要との条件が出される。 U 2機が撃墜される。

    ルメイは直ちに反撃を主張しアメリカ空軍は臨戦態勢をとる。まさに一発触発の危機である。 ルメイの部下であったマクナマラは『戦争というものは目的と手段が釣り合っていなければならない』と主張しあくまでも慎重論を唱える。

    ケネディはトルコのミサイル基地撤去することを約束し、ソ連がキューバからミサイルを撤去するならばアメリカは二度とキューバに攻撃を仕掛けないとの約束を大使館を通じて忠告する。そしてその返答を4時間以内に 設定をする。この間ソ連の潜水艦では核魚雷の発射準備がなされ潜水艦艦長は発射に前のめりになる中を感情がそれを押し止め情報の確認をさせる。
     また沖縄の読谷村のアメリカ軍基地では巡航ミサイル メースBの4基に発射命令が出されていた。この4基のうち一基はソ連向けに向けられ残り3機は別の国にむけられていた。担当者は4基のうち一基だけソ連で、後は別の国というのはおかしいとして確認が取られていた。後にこの発射命令は誤報であったされている。

     ケネディは誰にも相談せず独自の判断としてトルコの核ミサイルの撤去を命令した。

  13. 第13日  モスクワ放送がキューバのミサイルの撤去を報道し、周辺の海域からのソ連の船舶を帰還させるでも報道によってようやく危機は去った。
     かくして魔の息詰まるような13日間を経て世界は救われたのである。


背景と見どころ
 この映像の全編を通して感じたことは 、シビリアンコントロールが貫徹されていたことである。アメリカの民主主義には、部分的にはおかしいと思われるところもあるが、 この部分についてはアメリカの民主主義の確かなものを感じる。 日本ではかつて第二次世界大戦に至るまで 、アメリカ大統領が見せたような しっかりした統制は 見られなかったように思う。

 もう一点、この映像から学ぶべきところは、ケネディの確かな思想である。 ケネディが後日語ったとされる言葉は、大きな重みをもって我々の心に響く。それは、
「かつて世界大戦は些細な出来事と誤った判断の積み重ねで加速し世界に悲劇をもたらした。私たちは正しい情報と確固たる意志で行動しなければならないのだ。」

今、先制攻撃なの、核の傘に入るなど軽々しく議論がされているが、そのような人々は60年前のケネディのこの言葉を思い出してほしい。

キューバ危機の魔の13日間の間にはいくつかの本当に、間一髪の危機的な状況は横たわっていた。

もしソ連の原潜の副艦長のワシリー・アルビーポフが核魚雷の発射の確認をしないまま発射していれば、
 もし読谷村のアメリカ軍基地で、米軍の士官が巡航ミサイル メースBの発射の命令に不信感を抱くことなく、そのまま発射のボタンを押していれば、私たちの地球そのものが、その時点でなくなっていたはずである。



 この偶然の上に私たちの地球の存在が委ねられていたことを考えるだけでもぞっとする話である。このようなぞっとする話は今でも確実にそこらじゅうでころがっている。人類はいつまでこのようなバカなことを繰り返すのか。地球を破滅してもいいと叫ぶ議員を選んでもいいのか?いま日本人の選挙行動そのものが問われている!



映像に見る歴史 おすすめ映画50選のホームページに戻ります。  

2022年6月27日月曜日

ザ・ローマ 帝国の興亡 第1話「ネロ」:暴君は衰退の背中押す。古代ローマですら組織の自浄作用は機能したのに・・

ザ・ローマ 帝国の興亡 第1話「ネロ」

「ザ・ローマ 帝国の興亡(字幕版)」を観ました。今日もかつての「ローマ皇帝ネロ」が狂気に走り、悲惨な歴史を繰り返す
歴史映画館が時代の節目となる出来事を画いた映画を発掘し、時代背景と共にお贈りします。今回は「ザ・ローマ 帝国の興亡第1話「ネロ」」をお贈りします。

映画の紹介
 "狂気の暴君"誕生から、自殺に追い込まれた皇帝には何があったのか!
 紀元64年。ローマに起こった大火は市内のほとんどを焼き尽くした。

 この時までは、名君の誉れも高く、順風満帆に見られたネロにとって、この大火は大きな転機となった。
 皇帝ネロは市民のため帝国史上最大の計画を立てる。
 ネロは宮殿を解放し、大火災から市民を守る。市民の眼から見れば、このネロの行動は大いなる助けとして、拍手喝さいを浴びた。

そしてローマの復興に取り掛かる。ネロはもともと美的センスが高く、文化芸術に優れていた。この復興に際し、彼の美意識と自己満足力に火がついてしまう 。
 そして 暴君の 局面が大きくで前に出て、暴走を始める。皇帝としてはあまりにも純粋で、あまりに認識が強かったために、もはや国家予算も無視をし、周りとの軋轢もおかまいなく、自分の理想にのめり込んでいく。
 この映画はネロのこうした変節?をあぶりだしていく。それでもローマ元老院は機能していた。元老院はネロの暴虐を許さず、皇帝を追い詰めていく。



映画データ
この記事はアマゾン・プライムを参考にしています

     【ザ・ローマ 帝国の興亡】 ☜ こちらをクリックしてください


ローマ帝国の沿革
  1. 西洋古代最大の帝国。前8世紀ごろ、ラテン人がテベレ川下流域に建てた都市国家に始まる。
  2. 王政、のち共和政(前509~前27)を経て、前27年、内乱を収拾したオクタビアヌスの即位により帝政に移行。 最盛期の五賢帝時代(96~180)その版図は最大となり、東は小アジア、西はイベリア半島、南はアフリカの地中海沿岸、北はブリテン島に及ぶ大帝国となった。
  3. 2世紀末から衰退し、395年東西に分裂。東ローマ帝国は1453年まで続くが、西ローマ帝国は476年、オドアケルに滅ぼされた。
  4. 学術・芸術ではギリシャの模倣の域を出なかったが、法制・軍事・土木面にすぐれ、後世に大きな影響を与えた
  [補説]帝政開始から西ローマ帝国の滅亡までを古代ローマ帝国、それ以降を中世ローマ帝国とも称する。



第5代ローマ皇帝ネロ(紀元37~68)
  • ネロ・クラウディウス・カエサル・ドルスス・ゲルマニクス(Nero Claudius Caesar Drusus Germanicus)はローマ帝国・第5代皇帝。
  • 54年、ネロ(16歳)即位して皇帝になる
  • ネロの治世初期は、名君の誉れが高かった。
  • 西暦64年7月18日、皇帝ネロ時代のローマ帝国の首都ローマで起こった大火災が発生。
  • ローマの大火後にネロが陣頭指揮した被災者の救済やそのための迅速な政策実行、ローマ市の再建は市民に受けがよかった。「人間の知恵の限りをつくした有効な施策であった」との記録もある。 
  • 当時のローマ市内は木造建築がメインだったが、大火以降にネロが建築したドムス・アウレア(黄金宮殿)は、ローマン・コンクリートの普及に一役買っている。
  • また、ネロがローマの大火以降行った貨幣改鋳は、その後150年間も受け継がれた。ただし、この大火もネロ自身が裏で暗躍し、自分好みの街を作りたかったという望みから起こされたという説もある。
  • 復興のための財政が破綻したが、さらに収奪と圧政を続けたため、市民の反感を買い、自殺に追い込まれる。
  • 背景と見どころ
     ネロも最初から暴君ではなく、当初は名君の誉れも高かった。しかし多くの暴君が全く同じような推移を辿り、破滅や自滅に追い込まれていく。

     歴史は繰り返すというが、なぜこのような過ちが繰り返されるのか。歴史は繰り返し繰り返し学び、そして何より大事なことは失敗を失敗でもそれを記録に残すということである。

     今日の地球上でも、なんと暴君といわれる権力者が多いことか、彼らは一様に自らの権力基盤を固めるために、民主主義の仕組みを無視し、破壊する。またそのような権力者の下で、人びとが苦しみ喘ぎ苦闘せねばならない。人間はおろかだ・・・。





    映像に見る歴史 おすすめ映画50選のホームページに戻ります。  

    2022年6月24日金曜日

    「エリザベス (字幕版)」:大英帝国の確立はこのエリザベス一世の業績だ。今のイギリスはこの大英帝国の残渣にも責任を負わなければならない 

    エリザベス:大英帝国の確立の軌跡を見る。その大英帝国が世界に何をしてきたか?

    「エリザベス 」を観ました。
     この映画を見て、感じたことは、映画の中で、個人が確かな存在感を放っていることです。日本のこの種の映画にあるような雄たけびがなく、イデオロギーの押し付けもないということでした。映画では貴族の乱れた生活も描き出され、セックスをタブー視しない風潮が現実にあったのではないかと感じられるほどでした。もちろんこの映画が当時の生活をありのままに表現していることを認めるわけではありませんが、日本の映画にあるような怒鳴り合いは別の映画でも見られず、イギリス社会の成熟さを表すものと考えていいのではないかと感じます。

     エリザベス王朝がここに掲げるように比較的安定した王権と諸侯との間のバランスの上に立つことができたのは、イギリスが一定の民主化の過程を経ていたからである。
    現在のイギリスは、この映画にあるエリザベス一世のときに、間違いなくその基礎は築かれたことが分かる映画でした。

    イングランドの王権の制限と一定の民主化の過程
    1. マグナカルタ(Magna Carta)
      1215年、イングランド王ジョンが貴族たちに強制されて承認した特許状。イギリス憲法を構成する重要文書の一つ。「大憲章」と訳される。前文と六三条から成り、国王の徴税制限、人身の自由、不当な裁判による逮捕・財産没収・追放の禁止などを骨子とする。本質的には王権の制限、貴族の特権の確認で、一般人民の自由を規定したものではない。


    2. これ以降はエリザベス王朝以降の出来事である。

    3. 清教徒革命またはピューリタン革命
      清教徒革命またはピューリタン革命は、狭義には1642年から1649年、イングランド・スコットランド・アイルランドで起きた内戦・革命である。 背景は封建領主制からブルジョワ的土地経営に様変わりしたことが原因としてあげられる。すなわち、農民は土地に縛り付けられた封建的土地制度による耕作ではなく、商契約に基づく労働としての耕作(すなわち農業労働者という方向に徐々に変貌してゆく。

    4. 名誉革命
      1688年から1689年にかけて、ステュアート朝のイングランドで起こったクーデター事件である。
      種類 無血クーデター
      目的 復古王政の専制打倒、カトリック勢力の排除、イングランドの対仏同盟から対蘭同盟への切り換え
      対象 ステュアート朝
      結果 メアリー2世とウィリアム3世の即位、権利の章典の発布、立憲君主制及び議会制民主主義の確立、英仏軍事同盟の解消と大同盟戦争・第2次百年戦争の開幕


     歴史映画館が時代の節目となる出来事を画いた映画を発掘し、時代背景と共にお贈りします。今回は「エリザベス 」をお贈りします。

     このブログの使命は、時代の画期を成す映画を紹介することですが、このエリザベスについては、大英帝国の黄金期を築いた女王としてその功績はあまりい大きいため、映画の紹介でだけではなく、エリザベス女王の時代をできるだけ深堀したいと思います。乞うご期待!!


    映画の紹介
    エリザベス (字幕版):

    アカデミー賞受賞ケイト・ブランシェット、ジェフリー・ラッシュ、リチャード・アッテンボローがオールスターキャストを率いて演じるエリザベス女王の史劇。

    映画データ
    DVDサイズ ‏ : ‎ 30 x 10 x 20 cm;
    監督 ‏ : ‎ シェカール・カプール
    時間 ‏ : ‎ 1 時間 55 分
    発売日 ‏ : ‎ 2012/4/13
    出演 ‏ : ‎ ケイト・ブランシェット, ジェフリー・ラッシュ, クライヴ・オーウェン, サマンサ・モートン
    販売元 ‏ : ‎ ジェネオン・ユニバーサル
    ASIN ‏ : ‎ B006QJSCRM
    原産国 ‏ : ‎ 日本
    ディスク枚数 ‏ : ‎ 1
    この記事はアマゾン・プライムを参考にしています

         【エリザベス】 ☜ こちらをクリックしてください。アマゾンのサイトに移動します


    ストーリー
    出生と育ち
     ヘンリー8世と2番目の妃アン・ブーリンの子。1536年母が陰謀によって、反逆罪の汚名を着せられ火あぶりの刑によって刑死し、非嫡出子とされたが,44年には姉の病死により王位相続権を認められた。ルネサンスの影響下に成長し,幼時から聡明をもって聞こえた。
    即位後の業績
     即位後、各国からイングランドの簒奪を狙う、政略結婚の求婚者を退け独身を言明し,他国の干渉を退けることに苦労した。またローマカトリック教会はイングランドが、カトリックから離脱し、イギリス国教を設立したことにはげしく反発し、エリザベス廃位の策謀をめぐらした。

     エリザベスはこうした圧力や干渉を撥ね退け、59年には礼拝統一法を発布して,英国国教会を確立した。(今の感覚でいえば、ファッショそのもの)また他国の新教徒を援助する一方,両カトリック大国フランスとスペインの対立を巧みに操った。

    大英帝国の確立
    そうこうするうちにも、スペインからの圧力はますます高まり、ついに1588年オランダ独立を支援する名目で、スペインとの間にアルマダの海戦を開くこととなった。こうしてスペインの無敵艦隊を破ったことで、イングランドの国威は大いに上がり、本格的な大英帝国の時代に突入する。

    大英帝国の発展力の源泉
     エリザベスは即位したイングランドは 軍事力に置いても財力においても当時のヨーロッパ社会の中でかなり見劣りをするものだった。 エリザベスは自国を取り巻く状況を冷静に判断をし、自国がこの弱肉強食の世界で生き抜くためにはできるだけ他国との無益な摩擦を避けて、イギリス帝国の力を温存することでした。彼女は、東インド会社を設立し貿易を盛んにし、同時に封建的土地制度から絶対主義的な所有形態を引き込んで、合理性の力を借りて産業を育成する事だった。もちろん経済が土台にあることから生産方式の変化や都市の商工業の発達がベースにあって、エリザベスはそれをうまく取り込む形で執政を巧みにこなした方ではなかったろうか。
     イングランド帝国の国の確立は将にエリザベスの自主独立の意志と他の強国に対する強い外交力と徹底した合理性の賜物であったということができるのではないかと思われる。

     また私は、彼女が女王であったが故に、既成概念にとらわれず、逆に自由に発想ができたのも幸いしているのではないかと思う。!! 



    背景と見どころ
     エリザベス一世は1558年に即位して、1603年にこの世を去っている。 世界(15世紀末に世界といってもヨーロッパの世界のことであるが、)はスペイン神聖ローマ帝国、フランス、イギリスの四つの国家がしのぎを削っていた。最も強大であったのは神聖ローマ帝国であり16世紀の初めにはカール5世が専制を行っている。一方フランスでは、フランソワ一世、イギリスではヘンリー八世が統治をしていた。ヘンリー八世はローマ法王とプロテスタントからの干渉を嫌って、イギリス国教会を設立し、イギリス絶対王政を確立していた。
     その具体的な法的基盤は国王至上法(首長法)が法的な礎となっている。エリザベス一世はヘンリー八世の死後を受けイギリス国家権力確立のために力を注いでいる。

     しかしながらこの当時はイギリスはまだ弱小国であり、スペインとフランスとの間に挟まり、 その独立性を維持するのに四苦八苦していた。16世紀半ばにはスペイン絶対王政の最盛期を迎え、無敵艦隊を擁し、世界中に植民地を築き、世界中の富を欲しいままにしていた。フランシスコザビエルが日本に布教の為入ってきたのもこのころである。16世紀末にはオランダ連邦が独立宣言を行い、フランスにおいては、アンリ4世、ルイ13世・14世というフランス絶対王政の最盛期を迎えるに至る 。

    エリザベス1世の時代にはまだ植民地を持っておらず弱小国であったが、エリザベス一世は列強の間でバランスをとりながら中立を守り世界の植民地支配に乗り出して行く。エリザベス一世はこのようなイギリスの黄金期を迎える基礎を築いたと言える。

    映像に見る歴史 おすすめ映画50選のホームページに戻ります。  

    2022年6月23日木曜日

    宇宙から見た第二次世界大戦:今でも愚かな歴史を繰り返すロシア。人間は回虫にも劣るのか? 地球を滅ぼすのか

    宇宙から見た第二次世界大戦

    「宇宙から見た第二次世界大戦」を観ました。
     宇宙からという視点で第二次世界大戦を跡付けたもの。
      いままたウクライナに強大国のロシアが攻め込んでいます。歴史は繰り返すの感がさらに強まりました。人間はいつまでこのおぞましい歴史を繰り返すのか。


    歴史映画館が時代の節目となる出来事を画いた映画を発掘し、時代背景と共にお贈りします。今回は「宇宙から見た第二次世界大戦」をお贈りします。

    映画の紹介
    宇宙から見た第二次世界大戦
    今までなかった方法で第二次世界大戦の転機を振り返る。地球上空を飛行する衛星から世界をみるという視覚的に新しいアプローチで史上最大の戦争に迫る。



    映画データ
    1時間28分
    2012
    監督 SIMON GEORGE
    ジャンル アクション、ドキュメンタリー
    オーディオ言語 English



    この記事はアマゾン・プライムを参考にしています

         【宇宙から見た大二次世界大戦】 ☜ こちらをクリックしてください


    ストーリー
    これはドキュメント映画であるから、ストーリーはない。
     第二次世界大戦を宇宙からの視点で、ヨーロッパ戦線と太平洋戦線の二つに焦点を当てて、振り返る。出演は軍事評論家意外にアメリカの現役の高級将校が解説する。



    背景と見どころ
     第二次世界大戦当時に、宇宙の領域まで到達したのは、ドイツの開発したU2ぐらいのものだ。これとて、所詮は「弾」であって、ここで取り上げたように俯瞰できるものではなかった。
     その新しい最新鋭の技術で、第二次世界大戦を見たとき、眼下で繰り広げられていたのは、物量戦であり、肉弾戦であり、そして精神論がまだ大きく作用する、まだ人間臭い闘いであった。
     その時代から現在に視点を移した時、技術的には人間の手を離れた領域で戦われている。まず最初には核である。またドローンをはじめとするロボットであり、戦場の外で戦われる戦闘や各種情報戦である。このようにいわば、人間という実物が介在しない武器を使って、人間の社会の支配権を奪い合う、まさに非人間的な戦争になってしまった。しかも、その結果は地球自体を破滅させる規模で行われている。

     例えば回虫が人間の体の中に生息した場合にそのその宿主である人間の体あるいは人間自体を破滅に至らしめるようなことはしない。 なぜならもしそのような状態に至った場合に回虫自体の生存もできなくなるからである。
      回虫ですらそのような本能あるいは自制が働くにもかかわらず、人間には働かない。今や人間はいわば回虫にも劣る存在となっている。

     しかし現実がそうなってる以上、破滅を回避するための行動は取らねばならないだろう。 それは回虫が本能的に生きているように我々の本能を働かせて行かねばならないと思う。 その本能とは何かそれは生態系を破壊しないということである。
     地方の限定的な紛争まだ病気として片付けられるかもしれないが、現代における第二次世界大戦以降の戦争はもはや地球全体を滅ぼしかねない事態である。
       このためにまず第1になすべきことは戦争を止めること、つまり停戦である。 まず最初に当事者に停船させ、次に交渉のテーブルにつくことである。

      利害の反する、 当事者をテーブルにつかせることは現在の国連機能では難しい。 そのために 国連の機能を飛躍的に強化することである。 常任理事国の権限を制限し、現在の軍縮会議のような機能をさらに強化することである。

     今までは人間は回虫にも劣る愚かな歴史を繰り返してきた。今までは、曲がりなりにも、地球は破滅させずにすんでいた。しかし今の事態は異なる。
     人間の拡大再生産の自動化のシステムは極限に達し、自らの生存すら脅かすものとなっている。

     この国連改革のためには今までのような弱肉強食の資本主義社会自体を大きく変えればならない。企業は抵抗するかもしれないが、企業を殺してしまうということではなくてそれを全体に奉仕させるそのために、自分自身も生き残る地球の保持するということを考えればな理想的には口では言えるかもしれないが、一見実現不可能かもしれない。しかし今なさねば中で地球は滅びる。 またこの国連改革の際に気をつければならないことは、国と言う概念自体も捨てればならないかもしれない。
     という概念にとらわれている限り、第二のヒットラー、第二のプーチンが現れるであろう。 あるいはまったく種の異なる、価値観も異なる気違いが出てくるかもしれない。

     


    映像に見る歴史 おすすめ映画50選のホームページに戻ります。  

    2022年6月20日月曜日

    「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」:日本の佐藤内閣の沖縄返還かかわる沖縄密約事件とのあまりに鮮やかな対比

    ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書

    「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」を観ました。すばらしい映画です。感動しました。
    歴史映画館が時代の節目となる出来事を画いた映画を発掘し、時代背景と共にお贈りします。今回は「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」をお贈りします。
     泥沼化していたベトナム戦争でアメリカが勝利する見込みが無いにも関わらず、歴代大統領は国民に戦争の状況を知らせないまま、至上命令として戦争を続けていたことを示すアメリカのペンタゴンの最高機密文書が暴露されたことに端を発する。

      このことは当然のこととして、激しい国民の怒りを買い、焦ったニクソンはウォーターゲート事件を起こし、失脚する。

     この映画のすばらしさは、アメリカの新聞社が国民の知る権利を掲げて、敢然と権力に抗して闘い抜いたことである。そしてさらに、アメリカの司法が、三権分立の立場を堅持し権力におもねることなく、国民の知る権利を擁護する立場に立ったことである。さらに、国民がマスコミと司法をきちんと守ったことである。

     これとまったく同じようなことが、日本でも起こったが、日本の司法をマスコミは国民の知る権利を守れず、権力を擁護する立場に終始したことは後世に大いなる禍根を残すものとなった。その禍根は今なお続き、日本の民主主義は今や死に体となっている。



    映画の紹介
    1971年、アメリカのベトナム侵攻は泥沼化し、国際的にも批判が高まり、アメリカ国内でも反戦の気運が高ま利を見せていた。国防総省はベトナム戦争について調査・分析する文書を極秘裏に作成していたが、ある日、その文書が流出し、ニューヨーク・タイムズが内容の一部をスクープした。
     それは7000枚に及ぶ膨大な量であるが、ニューヨークタイムズでは、自らの生命とジャーナリズムの使命をかけ、厳しい選択を迫られていた。果たして、その決断とは・・?



    映画データ
    ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書 (字幕版)
    1時間56分
    2018
    監督 スティーヴン・スピルバーグ
    出演 メリル・ストリープ, トム・ハンクス, サラ・ポールソン
    ジャンル 外国映画
    オーディオ言語 English




    この記事はアマゾン・プライムを参考にしています

         【ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書】 ☜ こちらをクリックしてください


    ストーリー
     ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書が暴露され、それに触発され、アメリカの多くの新聞社も情報の公開と政府の責任を求めて立ち上がるうねりが沸き起こる。そしてそのうねりはついにニクソンをしてウォーターゲート事件を引き起こすところまで追い込んでゆく。


    背景と見どころ
     本筋は、 ニューヨーク・タイムズの女性の社長が当時の社会の風潮に抗して権力に戦いを挑むということではなくて(もちろんそのこともこの映画の主張を構成するものではあるが)、 新聞の使命が国民の利益に対して国民の利益のために行動することに徹するべきだというところにあると思う。
    この映画の素晴らしいところは問題の本質を隠すことなく新聞社の使命をまっ正面から捉えて闘いに挑む姿を描いたことである。それに加え、アメリカの司法が権力から独立しており、 国民の知る権利と民主 主義を 擁護する立場を貫いたことである。
      私はもし同じような事件が日本であった場合、日本の新聞はニューヨークタイムズやワシントンポストのように毅然として国民の側に立ち行動を起こしたであろうか大いに疑問を持つものである。
     もちろんこのことは新聞社のみの責任ではなく、国民の一人一人が自由と民主主義のために自覚し権力に対して、自分の立ち位置をしっかりと認識しているかどうかに関わる問題である。
      また同時に日本の裁判所が、三権分立の立場を貫き通すだけに成熟しているかの問題もある。日本の民主主義の脆弱さも対比して明らかになっているのではないだろうか。
      私たちはアメリカの新聞社の素晴らしさをただ賞賛するのではなく、自分自身の問題として日本の民主主義を支える行動と意識を持たなければならないと思う。





    映像に見る歴史 おすすめ映画50選のホームページに戻ります。  

    2022年6月12日日曜日

    「ヒトラー 最期の12日間」:ヒットラーは自分を祭り上げ自分を見失った そして今プーチンもヒットラーの後を追う

    「ヒトラー 最期の12日間」:神格化は人間性の否定の極致


    「ヒトラー 最期の12日間」を観ました。個人崇拝、神格化を許した民族はいつか絶える
    歴史映画館が時代の節目となる出来事を画いた映画を発掘し、時代背景と共にお贈りします。今回は「ヒトラー 最期の12日間」をお贈りします。 
      1933年に首相に指名され、政権をとって以来、1944年に至る11年間、彼はヨーロッパを蹂躙し続けた。その大義は、ユダヤ人と共産主義に対する計り知れない憎しみに貫かれている。彼が、そこまでの憎しみを抱く理由は一体どこにあるのだろうか。


    映画の紹介
     1945年4月20日、ベルリン。敗色濃い中でヒトラーは攻撃を避けてドイツ首相官邸の地下要塞に退避していた。
     味方すら敗戦を疑うものはいなかったが、もはやヒトラーは正常な感覚を失っていた。
    この時点で配下の将軍たちの間にも敗北は免れないとの認識に至っており、これ以上の犠牲を避けるために幾度も降伏を進言していた。しかしヒトラーはあれこれの希望的観測を述べ降伏を認めようとしないばかりか、更なる戦略を繰り出すが、もはや誰もそれを実行に移そうとしない。
     これは、日本で、御前会議で「もう人戦果を挙げてから」と決断を先延ばしにし、アメリカの攻撃のほしいままにさせた状況と極似している。

     戦争を唯一止めることができるのは、一義的にはドイツや日本のように仕掛けた仕掛けた側にありと考えるが、圧倒的に戦局を握っている側は、犠牲を最小限に抑えるために、終結する方策をとることが大切なことであることと考える。。



    映画データ
    【キャスト】
    ブルーノ・ガンツ
    ユリアーネ・ケーラー
    アレクサンドラ・マリア・ララ
    トーマス・クレッチマン
    コリンナ・ハルフォーフ
    ウルリッヒ・マテス

    【スタッフ】
    監督:オリヴァー・ヒルシュビーゲル
    製作・脚本:ベルント・アイヒンガー
    撮影:ライナー・クラウスマン

    音楽:ステファン・ツァハリアス


    この記事はアマゾン・プライムを参考にしています

         【
    ヒトラー 最期の12日間】 ☜ こちらをクリックしてください

    ストーリー
     この映画は、ドキュメンタリーであるので、ストーリーは基本的にはない。

    あれだけ大きな犠牲を払っても成し遂げるべきものは一体なんだったろうか
     ベルリンが包囲されても、国民の生命等には何の関心もなく、ヒトラー自身の妄想とプライドだったことがヒットラーの独白から明らかにされる。
     労働者による国家社会主義(この用語は後に、『国民社会主義』に訂正されている)を掲げたナチスが、結局国家社会主義という理念は途中でどこかに吹っ飛んでしまった結果、第三帝国の妄想に燃える総統への個人崇拝、何よりも秩序と規律を重んじる組織の暴走が始まる。
     そしてアーリア民族の純血性、国民全体が運命共同体であるという一面的な押し付け、何の具体性もなく、単なるヒットラーの気違いじみた妄想であったことが全編を通して明らかにされる。
     ここにいうヒットラーの思想に人々はなぜこうも傾倒したのか。

     ヒットラーのいう、国民社会主義の理想とは一体何だったのか、そして民主主義の前提とは、国民一人一人が歴史を学び、真実を思い知る事からだと、痛いほどリアルに教えてくれる。

    歴史は繰り返す。今また同じことが繰り返されている。
     ロシアのプーチンはウクライナにナチスの幻影を見て、その打倒を叫んで全世界の人々を飢餓のふちに追い込もうとしている。
    プーチンの周辺から漏れ出てくる片言隻語に、「帝政ロシアの復活」が、聞かれるが、彼の理想や、思想がどんなに高大であったとしても、そのために世界中の人々を飢えに曝すことはどう考えても釣り合わない。

    背景と見どころ
      ドイツと同じく戦争を仕掛け、敗戦してしまった点で同じ道筋をたどったといえる。指導者といえども、いや指導者だからこそ誤りを起こすものだ、われわれは疑ってかからねばならない。ヒットラーの言うように国民は指導者に全てを委任してはならない。国民の意志にから離れたならば、直ちに指導者を引きずり落とす勇気を持たねばならない。その勇気と仕掛けを確保する保証が民主主義なのだ。

    歴史は繰り返す
     私たちに求められるのは、歴史を知り、解釈するだけではなく、自分の問題として、過去の過ちを繰り返さないよう行動することなのだ。私たち一人一人の責任において!




    映像に見る歴史 おすすめ映画50選のホームページに戻ります。  

    2022年6月8日水曜日

    映画「激動の昭和史『軍閥』」の教訓:われわれはかつての苦い経験から何を学ぶのか

    激動の昭和史 軍閥

    「激動の昭和史 軍閥」を観ました。
    歴史映画館が時代の節目となる出来事を画いた映画を発掘し、時代背景と共に、「激動の昭和史 軍閥」をお贈りします。 この映画を見て私の率直な感想は、「たとえようもない悲しさ」です。

     映画の紹介
      激動の昭和史 軍閥
     二・二六事件を契機に軍部の力が増大した。近衛内閣を崩壊に導き、東条内閣をある意味強引に成立させ、太平洋戦争へと突入していく日本の近代史を我々の前に再現させた。「軍閥」と呼ばれる軍上層部のグループが力を持つに至った事実を明らかにするとしているが、軍閥は軍そのもので、何故特別な存在として扱うのか。軍閥という「閥」ではなく、日本の支配機構そのものであったといえる。

    この映画は、政治の流れは細かく表現されているが、国民の動き、世相なども含め、どうして戦争へ向かうようになったのか、止めるという力は働かなかったのかを画いて欲しかった。






    映画データ
      ☆東宝DVD名作セレクション 第2弾☆
    2015年は戦後70周年。
    第2弾は戦記作品23作品をラインナップ!
    なぜ、誰が、太平洋戦争を起こしたのか!
    謎に包まれる太平洋戦争の全貌が、今白日の下に晒される!
    【キャスト】
    小林桂樹/加山雄三/黒沢年男/三橋達也/山村聡/三船敏郎
    【スタッフ】
    監督:堀川弘通 脚本:笠原良三 音楽:真鍋理一郎
    【DVD 仕様】
    ジャンル ドラマ, 軍隊・戦争
    オーディオ言語 日本語
    2時間13分/カラー/シネスコ/片面2層/音声:日本語モノラル/字幕:日本語/1971年



         【激動の昭和史「軍閥」】 ☜ こちらをクリックしてください


    ストーリー
     2.26事件から原子爆弾投下までの、日本軍内部の動向をドキュメンタリータッチで追う。

     2.26事件、柳条湖事件、盧溝橋事件、満州事変、などの出来事が軍隊内部の抗争、勢力争い、御前会議などが一応語られている。しかし、もう少し掘り下げて欲しかった。



    背景と見どころ
     ここで交わされた会話の殆どが帝国軍隊の内部のものであるが、この映像を見て感じることは、「なんと怒鳴り合いが多いことか」そして「なんと自己主張が多く、客観的な会話がないことか」である。

      映画だからかも知れないが、この類の映画にはほとんどこういった感想を持つので、おそらくこの感想は当時の時代を正しく反映していると思う。

     日本国民に重大な影響を与えるであろう方針決定の場が、このように冷静さや客観性を欠いた会話では、まともな判断を下すことは不可能だろう。 これはこの映画のコメント欄でも多くの方々が言っておられるように、軍隊だけの問題でなかったろう。それは、日本国民が陥っていたある種の精神状態ではなかろうかと思う。 精神の高揚状態が常にある状態、即ち集団的ヒステリー状態にあったと言っても過言ではないだろう。
    今日問題となっている『あおり運転』が、悲しいかな国家全体で行われていた状態にあったのではないだろうか。

      このような白熱した議論は、いかにも威勢がよく、一生懸命になっている感を持っているが、ある意味実に滑稽である。本当に自分の意見が正しいと思うならば、その根拠を丁寧に説明し、相手の意見も聞きその問題点を出すべきであるにもかかわらず、相手の意見を遮り、自分の意見を主張する。日本は昔からそのような短兵急な態度が男らしいと評価されたであろうが、そろそろ成熟した議論がなされてもいいころだろう。もしそうだとすれば、その「男らしさ」そのものに問題があるといわねばならないだろう。

     戦前の帝国軍隊の内部がそのような気風に満ち満ちていたとすれば、ある意味負けて当然であったといわざるを得ない。敵を知ることなしに戦いに勝つことはできない。





    映像に見る歴史 おすすめ映画50選のホームページに戻ります。